桓秘

桓秘（かん ぴ）

桓秘（生没年不詳）は、東晋時代の官僚、軍人です。字は穆子。譙国竜亢県（現在の安徽省蚌埠市懐遠県）の出身で、父は宣城内史の桓彝、母は孔憲です。兄に大司馬の桓温がいます。

生涯

桓秘は東晋に仕え、秘書郎に任じられますが、兄の桓温からは重用されませんでした。

366年、梁州刺史の司馬勲が益州で反乱を起こすと、桓秘は輔国将軍・宣城内史に任じられ、持節・監梁益二州征討諸軍事として益州へ向かい、反乱を鎮圧します。

371年、大司馬の桓温は、中領軍・散騎常侍であった桓秘を新蔡王司馬晃のもとへ遣わします。桓秘は司馬晃に取り入り、武陵王司馬晞らが謀反を企んでいると密告。司馬晃がこの情報を皇帝司馬昱に伝えたことで、司馬晞らは捕らえられ、罪に問われることとなりました。

372年、妖賊の盧悚が建康の広莫門を襲撃する事件が発生。中領軍となっていた桓秘は、左衛将軍殷康と共に敵を食い止め、游撃将軍毛安之と協力して鎮圧に成功します。

373年、桓温が宮殿に賊を侵入させた責任を問い、桓秘は官職を免じられます。これに不満を抱いた桓秘は、桓温の子である桓熙・桓済と共謀して桓沖の殺害を企てますが、事前に察知され失敗。桓温の死後、桓沖によって桓熙と桓済は長沙へ流罪となり、桓秘自身も朝廷から追放されることとなります。

その後、桓秘は桓温の墓所に居を構え、思うままに田園や山水を楽しんだと伝えられています。

散騎常侍に任じられますが、桓秘は病気を理由に三度も辞退の上表を提出し、結局この官職には就きませんでした。桓秘は桓沖を軽んじていましたが、桓沖の権勢が増す一方で、自身の官職が低いことを恥じていたため、朝命に従わなかったとされています。

桓沖よりも先に亡くなりました。長男の桓蔚は游撃将軍・散騎常侍にまで出世し、桓楚の醴陵王に封じられました。

人物・逸話

幼い頃から才気がありましたが、世間の常識にとらわれない行動をすることがありました。

謝安と共に書や詩を十首作り、その言葉遣いは素晴らしいものでした。その文章は司馬昱に気に入られ、寵遇を受けました。

家系

父：桓彝（字は茂倫）
母：孔憲（臨賀太夫人を追贈）
兄弟：
桓温（長兄、字は元子）
桓雲（次兄、字は雲子）
桓豁（三兄、字は穆子）
桓沖（五弟、字は幼子）
子女：
桓蔚（長男）
桓女幼（庾友の子、庾宣の妻）

参考文献

『晋書』巻8 - 巻9、巻73 - 巻74
『資治通鑑』巻103

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