桜木町 (富山市)

富山市桜木町の歴史と現状：歓楽街としての発展と課題

富山県富山市中心市街地にある桜木町は、県内屈指の歓楽街として知られています。その歴史は古く、江戸時代には富山城の東出丸に位置し、富山藩主の居所であった千歳御殿と庭園が存在していました。しかし、幕末以降、堀の埋め立てや藩主の移住などを経て、明治時代初期に町割りが行われ、それまで市内各地に点在していた遊廓が集約されることとなります。

桜の木が多くあったことから「桜木町」と命名されたこの地は、遊郭の集積により歓楽街としての発展を遂げました。明治9年には女紅場が設置され、明治20年には授業所と仮駆懲院も開設。桜木町は芸妓を主体とする甲地、一方の東新地は娼妓を主体とする乙地という役割分担が形成されました。しかし、明治32年の富山大火で多くの建物が焼失すると、桜木町遊郭は桜谷村に移転。その後、桜木町は高級料亭街へと姿を変えていきました。

興味深いことに、戦前には「好色出版の帝王」や「ポルノ出版の王者」と呼ばれた梅原北明が桜木町で誕生しています。この事実は、桜木町の複雑な歴史の一端を物語っていると言えるでしょう。

近年では、暴力団の活動が社会問題となっています。2015年には指定暴力団の抗争が桜木町でも発生し、大規模な示威行為が行われました。この事件を契機に、富山県警察や暴力追放運動推進センター、民間団体による暴力団追放に向けた取り組みが強化されています。2019年には、桜木町にあった無料案内所の経営に暴力団幹部が関与していたことが発覚し、みかじめ料の徴収疑惑も浮上しました。

こうした状況を受け、2021年には富山県が暴力団排除条例を改正。桜木町一帯を暴力団排除特別強化地域に指定し、みかじめ料の要求や支払いに対する罰則を強化しました。現在も、警察や関係機関による暴力団排除に向けた取り組みが継続されています。

地理的には、桜木町は北側を松川、東側を富山県道22号富山停車場線、西側を城址大通り、南側を国道41号に囲まれた一画に位置し、隣接する総曲輪1丁目と共に、広義の桜木町として認識されています。道路沿いにはオフィスビルやホテルなどが立ち並びますが、路地に入るとスナックやバー、クラブなど多くの飲食店が密集する歓楽街の様相を呈しています。総曲輪通り商店街などの繁華街とはやや離れており、それぞれ異なる性格の商業地域として存在しています。

桜木町は、かつての藩主の居所、遊郭、高級料亭街という歴史と、現代の歓楽街としての現状、そして暴力団排除に向けた取り組みという複雑な要素が混在する地域です。その歴史と現状を理解することで、この地域の多様な側面をより深く知ることができるでしょう。

周辺施設

桜木町周辺には、富山城址公園、富山市郷土博物館、佐藤記念美術館などの文化施設、富山市役所、富山県庁、富山県警察本部などの公共機関、そして複数のホテルや企業の支店などが立地しています。また、富山地方鉄道富山軌道線の桜橋停留場や荒町停留場も近くにあります。これらの施設の存在が、桜木町の賑わいの一因となっていると言えるでしょう。

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