梁田貞

梁田貞（やなだ ただし）

生涯

梁田貞は、1885年（明治18年）7月3日に北海道札幌区（現在の札幌市中央区）で生まれました。教育者、そして作曲家としてその生涯を音楽に捧げました。1959年（昭和34年）5月9日にその生涯を閉じました。

教育者としての道

札幌の小学校、中学校を経て、札幌農学校予科に進学しました。その後、音楽の道を志し、東京音楽学校（現在の東京芸術大学）を受験しますが、一度は失敗。早稲田大学商科に籍を置きます。しかし、音楽への情熱を諦めきれず、中山晋平、牛山充らと共に受験勉強に励み、1908年（明治41年）に東京音楽学校予科に入学を果たします。

東京音楽学校では声楽と作曲を学び、1912年（明治45年）に本科声楽部を卒業。さらに1914年（大正3年）に研究科声楽部、1918年（大正7年）には研究科作曲部を修了しました。在学中は、アウグスト・ユンケルに合唱の指導を受け、ハインリヒ・ヴェルクマイスターに作曲、ハンカ・シェルデルップ・ペツォルトに声楽を師事しました。

教鞭を執った学校

教育者としては、1912年から1949年まで東京府立第一中学校（後の日比谷高校）で教鞭を執りました。その他、東京府立第五中学校、成城尋常小学校、東京外国語学校、母校である東京音楽学校、成城学園、学習院、玉川学園、東京女子体操音楽学校、東京都港区新星中学校など、数多くの学校で教鞭を執りました。

作曲家としての功績

梁田貞は数多くの作品を遺しており、そのジャンルは童謡、唱歌から歌謡曲、校歌まで多岐にわたります。
代表作としては、『城ヶ島の雨』（作詞：北原白秋）、『どんぐりころころ』（作詞：青木存義）、『昼の夢』（作詞：高安月郊）、『隅田川』（作詞：小松耕輔）、『木の葉』、『お玉じゃくし』（作詞：吉丸一昌）、『羽衣』、『あられ』、『てふてふ』、『たんぽぽさいた』、『鬼が島』、『とんび』（作詞：葛原しげる）などが挙げられます。また、旧制七高寮歌『楠の葉末』、日本大学二代目校歌、大東文化大学学生歌、秋田高校校歌なども手掛けました。これらの作品は、現在でも多くの人々に親しまれています。

人物像

東京府立一中時代には、その風貌から「ライオン先生」という愛称で親しまれていました。一方、同居していた府立高等学校では「カバ」と呼ばれていたそうです。梁田自身は「ライオン先生」の愛称を好んでいたと伝えられています。現在の日比谷高校の合唱祭では、その功績を称え「梁田賞」が設けられています。

没後

梁田貞の墓所は小平霊園にあります。

梁田貞を題材にした作品

1961年には、梁田貞を題材とした映画「音楽教師」（監督：今泉善珠）が制作されました。ロケ地は埼玉県立浦和第一女子高等学校でした。

参考文献

岩崎呉夫『音楽の師 梁田貞 :人とその作品』東京音楽社、1977年。
札幌市教育委員会 編『札幌人名事典』さっぽろ文庫66、札幌市、1993年。

外部リンク

* 梁田貞の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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