梅溪家

梅溪家：村上源氏から続く華族の歴史

梅溪家（うめたにけ）は、栄光と変遷に彩られた歴史を持つ、由緒ある家系です。そのルーツは、村上源氏久我流に遡り、公家として、そして華族として、日本の歴史の重要な一端を担ってきました。

誕生と家系の隆盛

梅溪家の歴史は、久我家における家督相続の争いに端を発します。慶長4年（1599年）、久我家の当主であった久我敦通が、不祥事を起こし、その息子である久我通世と共に、出仕停止の処分を受けました。元和元年（1615年）に処分は解かれましたが、通世は家督を継ぐことを許されず、弟の通前が久我家を継承することになります。この事件を契機に、通世の子である季通が新たな堂上家として梅溪家を創設することとなり、家系は新たな道を歩み始めました。

梅溪家の家名の由来は、『尊卑分脈』に記されている、源通親の四男である後土御門内大臣定通の曽孫、右少将定宗が梅溪を号したことにあります。

公家としての家格は羽林家、新家、内々に分類され、有職故実を家業としていました。鷹司家の家札を持ち、江戸時代の石高は150石と記録されています。3代当主通条の娘、幸子は徳川家重の側室となり、後の将軍徳川家治の生母となりました。これは、梅溪家の歴史において特筆すべき出来事です。

明治維新と華族制度

明治維新後、明治2年（1869年）に施行された華族制度により、梅溪家も公家として華族に列せられました。明治17年（1884年）には華族令が施行され、五爵制が導入されると、梅溪家の9代当主通善は、大納言直任の例がない旧堂上家として、子爵位を授けられました。

近代における梅溪家

10代当主通治は、平野神社宮司や男山八幡宮大宮司などの要職を歴任し、その弟通魯が養子として家督を継ぎました。通魯は戸畑鋳物株式会社の監査役などを務め、近代日本経済にも貢献しました。12代当主通虎は、三重県人松平家晃の次男でしたが、通魯の養子となり、貴族院の子爵議員を務めました。また、通虎の三女保子は、華道家の池坊専永と結婚し、その活躍は梅溪家の歴史に新たな一章を刻みました。さらに、保子の夫である池坊専永は衆議院議員も務めており、政治面でも活躍したことがわかります。

系譜と墓所

梅溪家の系譜は、複雑な婚姻関係や養子縁組を通して、幾多の変遷を遂げながら続いてきました。

梅溪家の墓所は、当初は大徳寺塔頭の昌林院でしたが、明治時代に昌林院は廃寺となり、黄梅院に統合されました。

幕末期の領地と参考文献

国立歴史民俗博物館の『旧高旧領取調帳データベース』によれば、幕末期の梅溪家の領地は、特定の地域に集中していたわけではなく、複数の地域に分散していたと推測されます。

梅溪家の歴史をより深く理解するためには、浅見雅男『華族誕生 名誉と体面の明治』、小田部雄次『華族 近代日本貴族の虚像と実像』、華族大鑑刊行会『華族大鑑』などの参考文献を参照することが重要です。これらの文献は、梅溪家のみならず、当時の華族社会全体の状況を理解する上で貴重な資料となります。

まとめ

梅溪家は、久我家という名門から派生した家系でありながら、独自の道を歩み、華族として、そして様々な分野で活躍した人物を輩出してきた家系です。その歴史は、日本の歴史と深く結びついており、今後も研究が続けられるべき重要なテーマと言えるでしょう。

もう一度検索