横田氏

横田氏について

横田氏（よこたし）は、2つの系統が存在する日本の武家氏族であり、それぞれの系統は異なる地域と歴史的背景を持っています。ひとつは下野国に根付いた一族で、もうひとつは近江国に起源を持つ一族です。以下では、それぞれの系統について詳しく説明していきます。

横田氏（下野国）

横田氏は下野国の横田郷に拠点を置いており、宇都宮氏の庶流として理解されています。この一族の始まりは、宇都宮頼綱の子である頼業が、承久の乱で功績を挙げたことに起因します。頼業は武芸に優れただけでなく、和歌や学問にも通じており、文武両道の名将とされています。彼の活躍の後も、横田氏は代々宇都宮氏を支え、地域の重要な一族として大きな役割を果たしました。しかし、宇都宮国綱の代に下野宇都宮氏が改易された際、横田氏もその運命を共にすることになりました。

また、横田氏には庶流として今泉氏も存在し、宇都宮氏内の内紛において今泉高光という重要な人物がこの出身であることが注目されます。

甲斐武田氏家臣の横田氏

もう一つの系統である横田氏は、甲斐の武田氏に仕えた家臣として知られています。この一族は、近江国甲賀郡横田の地に起源を持ち、本姓は宇多源氏佐々木氏とされています。彼らの通字は「松（とし）」であり、その名は武田氏の信頼を受けていました。

『甲陽軍鑑』によると、足軽大将であった横田高松が伊勢国出身の浪人の中で活躍し、信濃国の志賀城攻めや、山内上杉家との小田井原の戦いにも名を刻んでいます。しかし、天文19年に戸石城を攻撃中に敗退、戦死する結果となり、高松の家系は途絶える運命にありました。彼には実子がいなかったため、足軽大将・原虎胤の子どもである彦十郎（横田 康景）が養子となりました。

康景も長篠の戦いで戦死する運命にあり、彼の嫡男彦九郎もまた三方ヶ原の戦いで戦死しました。これにより、横田氏の家督は康景の子・甚五郎（尹松）に継承されました。武田氏の滅亡後、横田氏は徳川家康に仕官し、旗本として9500石を得るという成功を収めました。

幕末から明治時代への移行

幕末の維新期には、横田氏の当主である横田栄松が王政復古に従い、朝廷に早期帰順することで本領が安堵され、朝臣に転身することができました。彼はさらに、華族としての地位を得ようと試み、家禄が万石以上に達したとして、明治初期に4度にわたり諸侯昇格願を提出しましたが、残念ながら全て不許可となり、士族編入に留まりました。

このように、横田氏はその歴史の中で重要な役割を果たし、武家としての誇りとともに伝説を継承してきました。

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