櫛引清長

櫛引清長（くしびき きよなが）

櫛引清長は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将で、南部氏の家臣として知られています。彼は陸奥国八戸櫛引城の城主であり、その生涯は戦乱の世を色濃く反映しています。

生い立ちと家系

櫛引氏は、南部氏の支流である四戸氏からさらに分かれた一族です。清長は、天文9年（1540年）に櫛引弥六郎の子として生まれました。当時の武将の例に漏れず、幼少の頃から武芸を磨き、南部氏の家臣として成長しました。

九戸政実の乱

天正19年（1591年）、清長の人生を大きく左右する事件が起こります。南部氏内部で九戸政実が南部信直に反旗を翻したのです。この「九戸政実の乱」において、櫛引清長は政実側に与し、近隣の諸城を攻略するなど、重要な役割を果たしました。

九戸政実の乱は、豊臣秀吉による天下統一が進む中で発生しました。秀吉は奥州仕置を行い、南部氏にもその影響が及ぶ中、九戸政実はこれに反発しました。この反乱には、地元の豪族や武将たちがそれぞれの思惑で参加し、奥州全体を巻き込む大規模な戦乱となりました。

清長は、この戦いで勇猛果敢に戦いましたが、最終的に九戸城は降伏します。これにより、清長もまた、九戸政実や七戸家国らと共に捕らえられ、斬首されるという悲劇的な結末を迎えました。享年52歳。

参考文献

櫛引清長の生涯については、以下の文献に詳しい記述があります。

『岩手県史 第3巻 中世篇 下』岩手県、1961年10月20日
「角川日本姓氏歴史人物大辞典」編纂委員会『角川日本姓氏歴史人物大辞典 第3巻 「岩手県姓氏歴史人物大辞典」』角川書店、1998年5月18日。ISBN 4-04-002030-8。

これらの文献は、当時の歴史的背景や、櫛引清長の置かれた状況を理解する上で非常に役立ちます。

登場作品

櫛引清長は、小説などにも登場しています。

渡辺喜恵子『南部九戸落城』毎日新聞社、1989年8月30日。ISBN 4-620-10394-2。
高橋克彦『天を衝く - 秀吉に喧嘩を売った男・九戸政実 上』講談社、2001年10月19日。ISBN 4-06-210881-X。
* 高橋克彦『天を衝く - 秀吉に喧嘩を売った男・九戸政実 下』講談社、2001年10月19日。ISBN 4-06-210882-8。

これらの作品を通じて、より人間的な側面から櫛引清長を感じることができます。

まとめ

櫛引清長は、戦国時代の終わりに、激動の時代を生き抜いた武将です。彼は、南部氏の家臣として、また一人の武人として、その時代に翻弄されながらも、自らの信念を貫きました。九戸政実の乱における彼の行動は、その後の歴史に大きな影響を与え、今なお多くの人々に語り継がれています。彼の生涯は、戦国時代の武将の生き様を考える上で、重要な事例の一つと言えるでしょう。

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