正木晃

正木晃：日本の宗教文化を多角的に探求する宗教学者

正木晃氏（1953年 - ）は、日本の宗教学界において、独自の視点と多様なアプローチで知られる著名な学者です。専門は宗教学、特に日本密教とチベット密教を深く研究し、宗教図像学、とりわけマンダラ研究で高い評価を得ています。

学歴とキャリア

神奈川県小田原市出身の正木氏は、筑波大学大学院博士課程において単位取得満期退学。その後、国際日本文化研究センター客員助教授、中京女子大学助教授、純真短期大学教授などを歴任し、慶應義塾大学文学部や立正大学仏教学部でも非常勤講師として活躍しました。

研究内容：多様な宗教観と現代社会への考察

正木氏の研究は、日本密教とチベット密教にとどまりません。日本の原始神道についても、宗像大社・沖ノ島や大神神社・三輪山といった重要な聖地を起点に、独自の解釈を加えた研究を展開しています。さらに、宮崎駿監督のアニメーション作品を密教的な視点から分析した著作も多数執筆しており、学術的な厳密さと大衆的な分かりやすさを両立させたユニークな研究スタイルが特徴です。

著作リスト：多岐にわたるテーマと豊富な出版物

正木氏は、単著・共編著・翻訳など、非常に多くの著作を発表しています。そのテーマは多岐にわたり、密教の神秘的な側面から、日本の伝統宗教、現代社会問題、さらにはアニメーション作品にまで及びます。主な著作を以下にまとめます。

単著

『密教の可能性 チベット・オウム・神秘体験・超能力・霊と業』（大法輪閣）
『はじめての宗教学 『風の谷のナウシカ』を読み解く』（春秋社）
『お化けと森の宗教学 となりのトトロといっしょに学ぼう』（春秋社）
『性と呪殺の密教 怪僧ドルジェタクの闇と光』（講談社選書メチエ、ちくま学芸文庫）
『魔法と猫と魔女の秘密 魔女の宅急便にのせて』（春秋社）
『密教』（講談社選書メチエ、ちくま学芸文庫）
『立派な死』（文藝春秋）
『からだでつかむ仏教』（佼成出版社）
『子どもとお母さんのマンダラぬりえ』（春秋社）
『仏教にできること 躍動する宗教へ』（大法輪閣）
『楽しくわかるマンダラ世界』（春秋社）
『マンダラとは何か』（日本放送出版協会）
『密教的生活のすすめ』（幻冬舎新書）
『裸形のチベット―チベットの宗教・政治・外交の歴史』（サンガ新書）
『宗像大社・古代祭祀の原風景』（日本放送出版協会）
『空海をめぐる人物日本密教史』（春秋社）
『「千と千尋」のスピリチュアルな世界』（春秋社）
『現代の修験道』（中央公論新社）
『読んで深まる、書いて堪能する「般若理趣経」』（PHP研究所）
『空海と密教美術』（角川学芸出版）
『お坊さんのための「仏教入門」』（春秋社）
『いま知っておきたい霊魂のこと』（日本放送出版協会）
『「法華経」って、そういうことだったんだ。新現代語訳』（三一書房）
『お坊さんなら知っておきたい「説法入門」』（春秋社）
『あなたの知らない「仏教」入門』（春秋社）
『再興！日本仏教』（春秋社）
『日本のリーダーはなぜ禅にはまるのか』（エイ出版社）
『宗教はなぜ人を殺すのか　平和・救済・慈悲・戦争の原理』（さくら舎）
『マンダラと生きる』（NHK出版、角川ソフィア文庫）
『しししのはなし 宗教学者がこたえる死にまつわる〈44+1〉の質問』（CCCメディアハウス）
『もう一度学びたい宗教』（枻出版社）
『密教の聖なる呪文　諸尊・真言・印・種字ー』（ビイング・ネット・プレス）
『「空」論　空から読み解く仏教』（春秋社）
『詳説 日本仏教13宗派がわかる本』（講談社）
『世界で一番美しいマンダラ図鑑』（エクスナレッジ）
『マンダラを生きる』（KADOKAWA）
『「ほとけ」論　仏の変容から読み解く仏教』（春秋社）

共編著

『ここまで進んでいる宇宙の危機』（龍沢邦彦共著）
『チベット密教の神秘 謎の寺「コンカルドルジェデン」が語る 快楽の空・智慧の海』（立川武蔵共著）
『智恵の言葉 『サキャ・レクシェー』の教え』（ツルティム・ケサン共著）
『チベットの「死の修行」』（ツルティム・ケサン共著）
『チベット密教』（ツルティム・ケサン共著）
『不登校・引きこもりをなくすために いま私たちにできること』（森下一、池田雅之共著）
『図説マンダラ瞑想法 チベット密教』（ツルティム・ケサン共著）
『はじめての修験道』（田中利典共著）
『「なぞり書き」心に響く禅のことば108』（PHP研究所）
『名僧のことば』（大角修共著）

翻訳

フランセス・イエイツ『星の処女神エリザベス女王 十六世紀における帝国の主題』（西沢竜生共訳）
フランシス・イエイツ『星の処女神とガリアのヘラクレス 十六世紀における帝国の主題』（西沢竜生共訳）
釈宗演『西遊日記』（大法輪閣）
マドンナ・ゴーディング『世界のマンダラ塗り絵100』（春秋社）
『現代日本語訳　法華経』（春秋社）
スザンヌ・F・フィンチャー『フィンチャーのマンダラ塗り絵プレミアム』（春秋社）
『現代日本語訳　日蓮の立正安国論』（春秋社）
『現代日本語訳　空海の秘蔵宝鑰』（春秋社）
『理趣経 現代語訳』（角川ソフィア文庫）
『現代日本語訳　浄土三部経』（春秋社）
『現代日本語訳　日蓮の観心本尊抄』（春秋社）

正木氏の著作は、専門家だけでなく、一般の読者にも広く親しまれており、日本の宗教文化への理解を深める上で貴重な資源となっています。

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