正統長老教会

正統長老教会について

正統長老教会（The Orthodox Presbyterian Church）は、アメリカ合衆国で成立した、保守的な長老派教会の一つです。その設立は1930年代にさかのぼり、当時のキリスト教根本主義者と近代主義者との間で起こった論争を背景にしています。特にアメリカ合衆国長老教会（PCUSA）の内部での信仰の対立が核心となっていました。

歴史的背景

1930年代中頃、アメリカ合衆国長老教会では保守的な信徒たちが、神学的リベラルの流れに対抗して新たな教会を設立することを決定しました。この運動の中心人物となったのがジョン・グレッサム・メイチェンです。彼はウェストミンスター神学校を創立し、長老派の伝統的なカルヴァン主義を守ることを目指しました。正統（Orthodox）という名称は、キリスト教の正統的な信仰を象徴するものであり、東方教会とは異なることを示しています。

20世紀初頭まで、プリンストン神学校は正統的な長老派の神学が守られていましたが、1929年にその体制が変更され、リベラル派の教授が採用されることになりました。これに対抗してメイチェンらは新たにウェストミンスター神学校を設立し、PCUSAの大会でも改革派の伝統を守る訴えをしましたが、結果として彼らは免職されることとなりました。

1936年、メイチェンたちはアメリカ長老教会を設立しましたが、名称を巡って訴訟が発生したため、1939年には現在の正統長老教会へと名称を改めました。設立当初から正統長老教会は、キリスト教根本主義の象徴とされる一方で、歴史的な改革派の信仰の重要性を強調していました。

信仰と影響

正統長老教会は、絶対禁酒主義を採る一方で政治的なエキュメニカル運動や共産主義に反対し、強い保守的立場を貫いています。また、初期の指導者としてコーネリウス・ヴァン・ティルやアブラハム・カイパー、ジョン・マーレーが名を連ねています。

メイチェンや他の指導者たちは、ホッジやウォーフィールドの神学的影響を日本の福音的な教会に強くもたらし、その結果、日本キリスト改革派教会など、当教会に属する教会も生まれました。さらに、正統長老教会日本ミッションが派遣され、日本国内での伝道活動も行っています。

正統長老教会の歴史は、保守的な信仰の確立と革新に挑む姿勢を持つ教派として、アメリカのキリスト教界における重要な一角を占めています。信仰の維持と教会の拡大に向けて、今後もその役割は続いていくことでしょう。

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