正親町公明

正親町公明（おおぎまち きんあき）

正親町公明は、江戸時代後期に活躍した公家です。初名は公功（きんかつ）と称しました。彼は、日本の歴史において重要な役割を果たした孝明天皇の曽祖父にあたります。

経歴

公明は、明和2年（1765年）に蔵人頭に任じられ、公家社会での地位を確立しました。その後、明和5年（1768年）には参議、安永8年（1779年）には権大納言へと昇進を重ねました。安永9年（1780年）からは、院評定衆および院伝奏を歴任し、朝廷内での影響力を高めました。

寛政3年（1791年）には、武家伝奏に就任し、朝廷と幕府との間の重要なパイプ役を担いました。しかし、寛政4年（1792年）に発生した尊号一件（光格天皇が実父である典仁親王に太上天皇の尊号を贈ろうとしたものの、幕府に拒否された事件）において、その責任を問われ、武家伝奏の職を解任されました。

享和3年（1803年）には、後桜町上皇の院別当を辞任し、出家して竟空（きょうくう）と号し、仏門に入りました。この決断は、彼の人生における大きな転換点となりました。

系譜

父：正親町実連
母：広幡豊忠の娘
室：鍋島親（鍋島直員の娘、鍋島治茂養女）

子女

男子：正親町実賢 - 早世
男子：正親町実光（1777-1817）
男子：成実 - 仁和寺
男子：藪実嗣（1793-1851） - 藪公師養子
男子：裏辻実孚（1794-1811） - 裏辻公周養子
女子：八千子（?-1812） - 西園寺寛季継室
女子：環子（1780-?） - 新清和院女房
女子：鐘子（鍾子）（玉瀧院）（1782-?） - 後桜町院女房

参考文献

近藤敏喬 編『宮廷公家系図集覧』、東京堂出版、1994年
高橋博『近世の朝廷と女官制度』、吉川弘文館、2009年

関連項目

正親町家

正親町公明は、公家社会において様々な役職を歴任し、朝廷と幕府の関係にも関与しましたが、尊号一件という歴史的な事件の中でその職を退くこととなりました。しかし、その後に出家し、新たな人生を歩んだ彼の生涯は、変化に富んだ江戸時代の公家社会の一側面を映し出しています。

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