段勤

段 勤（だん きん）

段 勤は、五[[胡十六国時代]]に活躍した鮮卑段部の人物であり、段末波の子として生まれた。彼の生涯は、後趙の混乱に乗じて自立を試みるも、最終的には前燕に帰順し、悲劇的な結末を迎えるという波乱に満ちたものだった。

生涯

後趙への服属

338年3月、段勤の父である段末波が率いる段部が後趙によって滅ぼされると、段勤は後趙に服属し、建義将軍に任じられた。この時期は、段勤にとって屈辱的な時期であったと考えられる。

黎陽での自立と趙王の自称

350年1月、後趙の武徳王李閔（後の冉閔）が専横を振るい国内が混乱すると、各地で反旗を翻す者が相次いだ。段勤もこの混乱に乗じ、兵を率いて黎陽に移り、ここを拠点とした。この時、段勤は趙王を自称し、前燕に帰順した。これは、段勤が再び独立勢力として頭角を現そうとした瞬間であった。

冉閔との戦い

350年8月、段勤は同じく後趙から自立していた張賀度・劉国・靳豚らと昌城で合流し、結束して冉閔のいる鄴へ侵攻した。冉閔は、行台都劉羣に王泰・崔通・周成を始めとした歩兵騎兵12万を与え黄城に駐屯させ、自身も精鋭8万を率いて軍の後詰となった。両軍は蒼亭において激突し、連合軍は大敗を喫し、靳豚が討ち取られた。その後、段勤は立義将軍に任じられた。この戦いは、段勤の勢力拡大の試みが頓挫したことを意味した。

繹幕での割拠と前燕への降伏

352年3月、段勤は胡人数万を従えて繹幕に割拠し、再び趙帝を自称した。しかし、同年4月、前燕の建鋒将軍慕容覇（後の慕容垂）らが段勤討伐の兵を挙げ、繹幕へ進軍した。慕容覇が繹幕へ進出すると、段勤は弟の段思と共に城を挙げて降伏した。慕容儁は段勤の罪を赦し、尚書郎に任じた。これは、段勤が前燕の勢力下に入り、その庇護を受けることを選択したことを示す。

太牢への派遣

358年10月、常山の大樹が根元から倒れ、根の下より70の璧と73の珪が見つかり、いずれも光色は精奇であり、ただ物ではない宝玉であった。慕容儁はこれを嶽神の命と捉え、段勤を派遣して、これらを太牢に祀らせた。この出来事は、段勤が前燕において一定の地位を与えられていたことを示唆している。

処刑

359年2月、段勤は東晋に寝返ろうとした罪で慕容儁の命により処刑された。弟の段思は逃亡した。これにより、段勤の波乱に満ちた生涯は幕を閉じた。

段勤の生涯は、五[[胡十六国時代]]の動乱の中で、自らの勢力を築き上げようと奮闘した一人の人物の姿を浮き彫りにしている。彼の行動は、当時の政治情勢や民族間の対立を反映しており、歴史を考察する上で重要な事例の一つと言えるだろう。

参考文献

『晋書』（列伝第三十三、慕容儁載記）
『資治通鑑』（巻第九十八、巻九十九、巻百）

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