劉羣

劉羣（りゅう ぐん）

劉羣は、五胡十六国時代に生きた人物で、字は公度といい、中山郡魏昌県の出身です。彼は、東晋の太尉であった劉琨の子であり、漢の中山靖王劉勝の末裔であると伝えられています。

生涯

父である劉琨は、西晋の并州刺史として晋陽を守り、永嘉の乱が発生すると、拓跋部や段部と同盟を結び、漢（前趙）の侵攻を食い止めていました。劉羣は、清廉で勤勉であり、決断力に優れていたとされています。また、兵士からの信頼も厚く、偏軍将軍に任じられ、父の征伐に幾度も従軍し、後に世子に立てられました。

316年12月、劉琨は晋陽を失陥すると、薊を統治していた段部の段匹磾のもとへ身を寄せました。劉羣もまた、父に従いました。318年1月、段部の大人であった段疾陸眷（段匹磾の兄）が亡くなると、段匹磾は喪に服すために本拠地の令支へ向かいました。この時、劉琨は劉羣を段匹磾に随行させ、葬儀に参列するよう命じました。しかし、段末波（段匹磾の従弟）が大人の位を簒奪し、兵を派遣して段匹磾を攻撃しました。段匹磾は辛うじて薊城へ逃れましたが、劉羣は捕らわれの身となりました。

段末波は、劉琨を味方に引き入れて共に段匹磾を討とうと考え、劉琨を幽州刺史に任じ、劉羣もまた礼遇しました。さらに劉羣に、段末波に内応して共に段匹磾を挟撃するよう勧める内容の手紙を書かせ、密偵を放って劉琨のもとへ送り届けました。しかし、段末波の使者は途中で段匹磾に捕えられ、段匹磾はこの書状を見ると劉琨に疑念を抱くようになり、5月に劉琨は誅殺されました。劉琨の従事中郎であった盧諶・崔悦らは残った兵を率いて段末波に投じ、劉羣をその勢力の盟主としました。以降、劉羣は段部に仕え、左長史に任じられました。

338年3月、後趙軍が総勢12万の兵で段部へ侵攻すると、段部勢力下の漁陽郡・上谷郡・代郡の諸太守は相次いで降伏し、瞬く間に40を超える城が陥落しました。段部の大人であった段遼は妻子親族及び豪族千戸余りを率いて密雲山へ逃走し、劉羣は盧諶・崔悦らと共に府庫を封じてから後趙に降伏しました。石虎は劉羣を礼遇し、中書令に任じました。

その後、秦州刺史に昇進しました。349年11月には、尚書左僕射に任じられました。350年1月、冉閔が魏国を興すと、劉羣はこれに従いました。8月、張賀度・段勤・劉国・靳豚らが昌城で冉閔討伐の兵を挙げると、本拠地の鄴へ侵攻しました。冉閔の命により、劉羣は行台都督・尚書左僕射に任じられ、張賀度らの討伐を命じられました。彼は王泰・崔通・周成を始めとした歩兵騎兵12万を率いて黄城に駐屯し、冉閔自らは精鋭8万を率いて軍の後詰となりました。両軍は蒼亭において戦闘となり、劉羣はこれに勝利して張賀度軍を潰滅させ、2万8千の兵を討ち取りました。さらに、陰安まで追撃を掛けると、靳豚の首級を挙げ、残兵を尽く捕虜としました。その後、軍を帰還させました。

352年4月、前燕の輔国将軍慕容恪は冉魏討伐のために軍を起こすと、冉閔は迎撃の為に出陣し、劉羣もまた随行しました。両軍は魏昌の廉台において激突し、冉魏軍は前燕軍と10度戦って全て勝利しましたが、慕容恪は敗北したふりをして軍を退き、冉閔を平地へ誘い込みました。そこで、慕容恪は全軍を三隊に分けて方陣を作り、冉閔が策にはまって平地へ誘い出てくると、両翼から挟撃を仕掛けたので、冉魏軍は大敗を喫しました。この戦いで冉閔は捕らえられ、劉羣は戦死しました。

参考文献

『晋書』列伝第32　列伝第33　載記第7
『資治通鑑』巻90 - 巻99
* 『十六国春秋』後趙録

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