水島臨海工業地帯

水島臨海工業地帯は、岡山県倉敷市の水島地区を中心に、児島・玉島の3地区にまたがる広大な工業地域です。一般的に水島工業地帯とも呼ばれます。この地域は、高梁川の河口に形成された三角州、旧東高梁川の廃川地、そしてその先の干拓地や埋立地を利用して造成されました。その広大な面積は、倉敷市南部の水島地区南部、玉島地区南東部、そして児島地区の西部にまで及び、特定重要港湾である水島港とその背後地を含みます。

地理的範囲

具体的には、倉敷市水島地区では水島川崎通、水島西通、水島中通、水島海岸通、水島福崎町、潮通、南畝4丁目、松江4丁目などが含まれます。児島地区では本荘西部（宇野津・塩生のおおむね国道430号以西と通生の一部）、そして玉島地区では乙島のおおむね岡山県道191号線およびクラレ入口交差点以南が該当します。

この工業地帯はAからEまでの5つの地区に分かれており、それぞれ異なる特徴を持っています。

A地区: 水島港の西岸、旧東高梁川の河口廃川地と、福崎新開、高砂新開、福喜新開などの干拓地を含むエリア。
B地区: 王島山の南側、呼松西沖の干拓地、福田新開など。
C地区: 児島の本荘西沖の干拓地。
D地区: 水島の高梁川東岸、後から干拓・埋め立てられた川崎通エリア。
E地区: 玉島の乙島南沖の干拓地。

水島地区では、南畝・松江の全域や中畝・東塚の一部も含まれることがあります。また、工業統計調査では、これらの範囲に加えて水島支所管内全域と玉島の乙島全域も対象となる場合があります。

歴史

水島臨海工業地帯の発展は、明治から大正期にかけて行われた高梁川の改修工事に端を発します。東高梁川が廃川となり、その跡地にできた土地に、1943年、第二次世界大戦中に三菱重工業の航空機製作所岡山工場が建設されました。これがこの地における工業の始まりです。戦後、重化学工業化が進むにつれて、本格的な工業地帯として発展しました。

1953年、岡山県は大型船舶の入港を可能にするため、航路泊地の浚渫に着手し、その浚渫土砂で海面を埋め立てて工業用地を拡大しました。県は当時、農業中心から工業中心の産業構造への転換を目指し、工業の発展を県勢振興の根幹に位置づけ、積極的な開発を行いました。その結果、石油精製、鉄鋼生産、石油化学、重化学工業、機械生産、食品工業など、多種多様な産業がこの地に集積するようになりました。

交通施設、用地、用水などの産業基盤整備と並行して、生活環境施設、教育文化施設、社会福祉施設などの社会資本整備も重点的に進められました。現在、水島臨海工業地帯は岡山県経済の中核として、全国有数の巨大工業地帯に成長しています。

主要企業

以下に水島臨海工業地帯に進出している主な企業を、地区ごとに五十音順で紹介します。

A地区

エイ・ジイ・インタナショナル・ケミカル水島工場
オーシカケミテック水島工場
JA西日本組合飼料水島工場
ジヤトコ第三事業所水島工場
ジャパンパイル製造岡山工場
中部飼料水島工場
西日本飼料
日清オイリオグループ水島工場
萩原工業
パシフィックグレーンセンター西日本支店
ピー・エス・コンクリート水島工場
水島アロマ本社工場
水島エルエヌジー
水島エルエヌジー販売
水島機工
三菱ガス化学水島工場
三菱自動車工業水島製作所（C・E地区にもあり）
MGCウッドケム水島工場

B地区

旭化成エポキシ水島工場
荒川化学工業水島工場
岩谷瓦斯水島工場
関東電化工業水島工場
共和工業所
倉敷ボーリング機工
山陽石油化学水島工場
ジェイカムアグリ水島工場
島田焼付塗装工業本社工場
上備製作所水島工場
中国電力水島発電所
東京製鐵岡山工場
トーカロ水島工場
日鉱液化ガス水島輸入基地
日本合成化学工業生産技術本部水島工場
PSジャパン水島工場
ペトロコークス水島工場
三國製薬工業水島工場
水島瓦斯
三菱ケミカル水島事業所（C地区にもあり）

C地区

旭化成水島製造所
大阪ソーダ水島工場
岡山化成水島工場
岡山ブタジエン水島工場
小田象製粉
新来島サノヤス造船水島製造所
ENEOS水島製油所（A地区にもあり）
瀬戸埠頭
日本曹達水島工場
日本食品化工水島工場
日本ゼオン水島工場
日本農産工業水島工場
水島オキシトン水島工場
三菱ケミカル水島事業所（B地区にもあり）
三菱自動車工業水島製作所（A・E地区にもあり）

D地区

JFEコンテイナー水島工場
JFEスチール西日本製鉄所（倉敷地区）
JFEフェライト倉敷工場
JFEミネラル製鉄関連事業部倉敷製造所
JFEロックファイバー
瀬戸内共同火力倉敷共同発電所
水島合金鉄本社工場
水島鋼板工業
水島リバーメント

E地区

アキオカ
オクダソカベ岡山臨海工場
クラレ倉敷事業所
三恵重機械工業倉敷工場
三東工業
サンヨー化成工業
サンモータース玉島工場
JFE鋼板玉島製造所
JFE炉材製造部玉島工場
住友重機械工業岡山製造所
星光PMC水島工場
錢屋アルミニウム製作所岡山玉島事業部
タツモ
中国電力玉島発電所
中国精油水島工場
日本エアロフォージ
トウペ製造倉敷工場
ナカシマプロペラ玉島工場
日電商工倉敷工場
ヒラキン
冨士ダイス岡山製造所
水島機工玉島工場
三菱自動車工業水島製作所（A・C地区にもあり）
ロジコム岡山営業所

主要施設

水島臨海工業地帯には、多くの官公庁施設や交通機関、その他施設も存在します。

官公庁

水島港合同庁舎 - 水島福崎町（A地区）
神戸税関水島税関支署
水島海上保安部
広島検疫所水島出張所
中国運輸局岡山運輸支局水島海事事務所
神戸植物防疫所広島支所水島出張所
臨港消防署 - 児島塩生（C地区）

鉄道施設

水島臨海鉄道 - A・B・D地区
三菱自工前駅 - 水島海岸通（A地区）旅客駅
倉敷貨物ターミナル駅 - 水島西通（D地区）貨物駅
東水島駅 - 水島・潮通（B地区）貨物駅

その他の施設

玉島の森 - 玉島乙島（E地区・玉島ハーバーランド）
宇野津公園 - 児島宇野津（C地区）
高島山 - 児島塩生（C地区）
緑地公園
産土荒神社
倉敷シーサイドホテル

課題・問題点

水島臨海工業地帯は、経済発展に大きく貢献する一方で、公害や環境汚染の問題も抱えています。これらの問題への対策が重要な課題となっています。

参考資料

岡山県産業労働部『水島臨海工業地帯の現状』平成21年1月
巌津政右衛門『岡山地名事典』（1974年）日本文教出版社
岡山県大百科事典編集委員会編集『岡山県大百科事典』（1979年）山陽新聞社
ゆったり倉敷

水島臨海工業地帯