氷雪気候

氷雪気候とは

氷雪気候（ひょうせつきこう）は、ケッペンの気候区分における寒帯に属する気候区の一つで、記号はEFで表されます。この気候は、年間を通して雪と氷に閉ざされているのが特徴です。フローンの気候区分では高極帯（EE）に相当します。

分布

主に南極大陸やグリーンランドの内陸部に分布しており、学術調査や資源開発などの活動が限定的に行われています。これらの地域では、土壌は永久凍土となっており、植物の生育は極めて困難です。

気候の特徴

氷雪気候の地域では、年間を通して気温が非常に低く、夏でも平均気温が0℃を超えることはありません。冬には極めて低い気温が観測され、南極内陸部では過去に-89.2℃、地表面温度では-93.2℃を記録したこともあります。

降雪量が融雪量を上回るため、氷河が形成されます。また、ブリザードと呼ばれる突風が月に数回吹き荒れることも特徴です。これらの極端な気候条件から、人間が定住することは非常に困難です。

気温と降水量

氷雪気候は、最暖月の平均気温が0℃未満という条件で定義されます。最寒月の平均気温や降水量に関する規定はありません。そのため、亜[[寒帯]]の条件である「最寒月平均気温が氷点下3℃未満」を満たさずとも、年間を通して平均気温が氷点下であれば、この気候に分類されます。ただし、実際にそのような地点が存在するかは、別の問題となります。

分布の限定性

氷雪気候は、グリーンランドやクイーンエリザベス諸島の内陸部、南極大陸とその周辺の島々といった非常に限られた地域にしか分布していません。シベリア北東部の内陸部は、冬季には氷雪気候並みの低温になることもありますが、夏季には気温が比較的高くなるため、亜[[寒帯]]気候（DfdまたはDwd）に分類されます。

居住と活動

氷雪気候の地域には都市は存在しませんが、調査研究を目的とした一時的な定住は各地で行われています。南極にある昭和基地やマクマード基地、アムンゼン・スコット基地、ボストーク基地などがその例です。

気象現象

年間を通して気温が低く、短い夏の間は白夜、冬は極夜となります。広大な氷床や氷河では、滑昇風と呼ばれる風が吹き、地吹[[雪]]（ブリザード）が頻繁に発生します。また、寒冷な気団のみで構成される極低気圧が、強風や雪をもたらすこともあります。

土壌・植生・産業

氷雪気候の地域では、土壌は氷河や万年雪の下に隠れており、ほとんど見られません。氷河の薄い場所には、過去の温暖な時代に形成された永久凍土が存在します。自然に植物が生育することはなく、海中でも海藻は育ちません。わずかに菌類が見られる程度です。

人間の居住は、強風や低温に耐えられる建物と、定期的な食料や物資の輸送が不可欠です。南極の基地では、一時的な滞在や数ヶ月程度の滞在に限られています。ただし、南極の棚氷や北極の厚い海氷の上では、建物を設置して居住することも可能です。

氷雪気候地域では、その厳しい自然環境を利用した学術研究が主な活動です。また、居住地では、生活に関連した産業も成立しています。将来的には、氷河の下に眠る天然資源の利用も検討されています。

野生動物

氷雪気候の地域では、一部の岩場などでホッキョクグマ、ペンギン、アザラシなどの野生動物が生息しています。これらの動物は主に周辺海域の魚類を摂取して生活しており、もう一つの寒帯であるツンドラ気候に比べて生態系は限定的です。

環境問題

近年の地球温暖化により、南極の氷床や北極の氷河の融解が加速しており、プランクトンの異常発生や、氷河に棲む動物の生息環境の悪化といった影響が出ています。また、海面上昇への影響も懸念されています。温暖化がさらに進むと、氷雪気候の地域は高緯度や高標高の場所に限定される可能性があります。最暖月の平均気温が0.0℃以上になると、これまで氷雪気候とされていた場所は、定義上ツンドラ気候に変わることになります。

参考文献

• - 矢澤大二『気候地域論考―その思潮と展開―』古今書院、1989年11月20日

外部リンク

• - 昭和基地の気象データ（気象庁）

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