永明延寿

永明延寿（えいめい えんじゅ）

永明延寿は、中国の五代十国時代を生きた法眼宗の僧侶であり、宗照大師の諡号を持ちます。俗姓は王、字は冲玄、号は抱一子。浙江省杭州市余杭県の出身で、「教禅一致」の思想を提唱したことで知られています。

略歴

出家前

幼少の頃から仏教に親しみ、7歳で法華経を読誦、16歳で斉天賦を当時の有力者であった銭元瓘（後の呉越の文穆王）に献上し、官吏としての道を歩み始めました。

出家以降

28歳の時、華亭県（現在の上海市松江区）に駐留する将校でしたが、突如として妻子と財産を捨て、雪峰義存の弟子である翠巌令参のもとで出家しました。その後、天台徳韶の法を継ぎ、雪竇山資聖寺や霊隠寺などの寺院に住しました。建隆2年（961年）には永明寺に移り、以後15年間、この寺で教えを受けた門弟は1,700名に及んだと伝えられています。

呉越国の王である銭氏は、永明延寿を深く尊崇しました。彼は『法華経』を13,000部も読誦し、在家信者に対しては熱心に造像や造塔を奨励しました。

彼の名声は海を越え、高麗の光宗が延寿の徳を慕い、36人の僧を派遣して弟子入りを志願させました。また、天台山においては、10,000人以上の人々に得度・授戒を行い、放生会を催しました。

開宝8年12月26日（976年1月29日）、72歳で示寂。宗照大師と諡されました。法臘は42年。

浄土教においては、蓮宗の第六祖として位置づけられています。

主著

『宗鏡録』
『万善同帰集』
『慧日永明寺智覚禅師自行録』
『唯心訣』
『神栖安養賦』

伝記

『十国春秋』巻89「呉越十三 列伝」
『宋高僧伝』巻28「大宋銭塘永明寺延寿伝」
『景徳伝灯録』巻26「杭州永明寺延寿禅師」

脚注

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