池田治政

池田治政とは

池田治政（いけだ はるまさ）は、備前岡山藩の5代目藩主として知られ、その治世は政治的な革新や文化振興に寄与しました。彼は寛延3年（1750年）1月9日に生まれ、父は前藩主の池田宗政、母は黒田継高の娘、藤子です。幼名は新重郎で、後に初名・敏政から改名し治政となりました。15歳の時に家督を継ぎ、将軍徳川家治から偏諱を受けて自身の名を改めました。

政治的手腕

治政は非常に有能で果断な藩主として知られており、老中・松平定信が進めた寛政の改革には反対の立場をとりました。定信が出した倹約令に従わず、むしろ放漫な財政政策を展開しました。この大胆な行動は、治政が大名としての威厳を重んじ、江戸に向けて豪華な参勤交代の行列を編成したことにも表れています。

その結果、江戸市民の間で「越中（定信の官位）が越されぬ山が二つある。京で中山、備前岡山」という落首が詠まれることになりました。これは治政が定信の改革姿勢に反対する姿勢を反映したものであり、彼の影響力の強さを示しています。

治政は特に、隠居後45歳という若さで政権を譲りましたが、これは松平信明の報復が背景にあったとされています。

文化面への貢献

藩主としての治政は政治だけでなく、文化面でも業績を残しました。彼は優れた文人でもあり、絵画や俳諧などの作品を多々創作しました。この関係で、衰退していた閑谷学校を再興し、当地の教育の向上にも尽力しました。

隠居後、治政は島津重豪や徳川治済らと交流し、文人としての活動をさらに広げていきました。

逸話と人柄

治政には多くの逸話があり、中でも天明4年（1784年）に起こった出来事が印象的です。この年、盗賊田舎小僧新助が岡山藩邸に侵入しましたが、治政は家臣を呼ばずに自ら鉄の鞭を振るい新助を追い返しました。新助は逃げ延びたものの、この時の恐怖を「慌てたことも恐ろしかったこともない」と語っています。この話は、治政の果断さを物語るエピソードとして伝わっています。

最期と墓所

治政は寛政6年（1794年）3月8日に長男、池田斉政に家督を譲った後、隠居生活を送ります。文化4年（1807年）には剃髪し、一心斎と名乗りました。文政元年（1818年）12月19日に69歳で死去し、岡山県岡山市中区円山の曹源寺に埋葬されました。

家族・系譜

池田治政の父は池田宗政、母は藤子です。正室米姫（酒井忠恭の娘）との間に長男の池田斉政、次男池田政芳、他にも数人の子供がいます。側室からはさまざまな子供が生まれ、家系はその後も岡山藩の重要な役割を果たしました。

治政は、政治や文化において現在も語り継がれる存在であり、岡山藩の発展に大きく貢献した藩主の一人です。

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