沖ノ神島神社

沖ノ神島神社の概要

沖ノ神島神社（おきのこうじまじんじゃ）は、長崎県北松浦郡小値賀町野崎郷、野崎島の山中に鎮座する神社です。この神社は、五島列島に数ある神社の中でも最古の一つとされ、その歴史は704年に遡ります。境内には、自然の造形物とも人工物とも言われる巨岩「王位石」があり、古代からの信仰の対象であったとされています。

この神社は、かつて沖津宮と呼ばれており、対岸の小値賀島にある地ノ神島神社（辺津宮）と合わせて神島神社（または神島宮）と称されていました。主祭神は神島大明神（鴨分一速王命）で、志自岐大明神（十城別王命）と七郎大明神（七郎氏廣王）も祀られています。特に十城別王命は、長崎県本土唯一の式内社である志自岐神社の主祭神であり、この神社の格式の高さを物語っています。

歴史

神社の創建は、704年（慶雲元年）に地ノ神島神社から分祀されたことに始まります。この時期は、遣唐使が五島列島を経由する航路に変更された時期と重なり、航海の安全を祈願する意図があったとも考えられています。

その後、神社は851年に正六位下の神階を授けられ、中世には別当寺として萬福寺が創建されました。16世紀には社殿が再興され、江戸時代には永代神領として8石が寄進されました。また、1702年には船着場が整備され、参拝者の利便性が向上しました。18世紀末には、萬福寺が小値賀島に移設され、その後廃寺となりました。

時代が下り、1980年頃には、例祭の開催場所が本宮から野崎郷の神官家へと変更されました。2001年には神官家が離島し、野崎島は無人島となりました。その後、小値賀島の笛吹六社神社境内に遥拝所が設置され、現在に至ります。2011年には、小値賀島および周辺の島々の自然・旧跡が「小値賀諸島の文化的景観」として重要文化的景観に選定されました。

王位石

拝殿後方には、高さ24m、幅12mにも及ぶ巨大な盤座「王位石」があります。その成り立ちについては自然のものか人工的なものか定かではありませんが、古代から信仰の対象とされ、神楽が舞われたとも伝えられています。

史跡

沖ノ神島神社には、歴史を感じさせる様々な史跡があります。

山越え参道: 野崎集落から神社へと続く山道は、かつて参詣者が通った道であり、1970年代には九州自然歩道の一部として整備されました。しかし、近年はイノシシの来島により荒廃が進んでおり、注意が必要です。
海からの参道: 海岸から神社へ続く斜面には、かつて小値賀島から船で来た参拝者が通った道があり、現在では利用されていません。
肥前型鳥居: 海からの参道の起点にある鳥居は、1680年に建立されたものです。
社叢: スダジイを主とする原生林が、神社の歴史を物語っています。
神島神社遥拝所: 小値賀島の笛吹六社神社境内に設置された遥拝所は、無人島となった野崎島への参拝を代替する場所となっています。
神官屋敷: 武家屋敷造りの神官屋敷は、神殿が併設されており、当時の様子を偲ばせます。
* 御神楽崎: 小値賀島最東端の岬は、海が荒れて船で参拝できない場合の代参の地でした。

交通

野崎漁港から山越え参道を徒歩で約2時間半で神社に到着します。野崎漁港へは、小値賀島からの町営船が日に数便運航しています。

祭事

かつては8月に行われていた例祭は、島民が各部落ごとに参拝日を決め、座船を仕立てて参拝していました。参拝後には船漕ぎ競争が行われ、特に柳の東西両郷の競争は大きな賑わいを見せていたそうです。近年は過疎化により、例祭は神官家で行われるようになりました。

周辺施設

沖ノ神島神社の周辺には、旧野首教会や旧萬福寺跡などの史跡があります。これらの施設も、野崎島の歴史を物語る重要な場所です。

沖ノ神島神社は、自然と歴史が調和した神秘的な場所です。ぜひ一度訪れて、その魅力を感じてみてください。

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