波多氏 (古代)

波多氏の概要

波多氏（はたうじ）は、古い歴史を持つ日本の氏族であり、その名は「波多」に由来します。この氏族は多くの地域に分布しており、それぞれの地名で発展してきました。特に有名な地名には、肥前国松浦郡波多村、大和国高市郡波多郷、出雲国飯石郡波多郷、肥後国天草郡波多郷などがあります。また、相模国や信濃国、土佐国にも同じ名前の地名が存在し、これらの地名は波多姓を名乗る多くの氏族の起源となっています。

祖先と系譜

波多氏の起源は、武内宿禰の長男である波多八代宿禰（はたのやしろのすくね）にさかのぼります。彼は臣の姓から朝臣に改められ、波多郷に由来する波多神社を氏神として崇拝しました。さらに、彼は古事記や日本書紀にも名前が見られ、特に弟の巨勢小柄宿禰と共に神功皇后の三韓征伐に従ったとされています。

波多八代宿禰は、応神天皇の時代に百済の辰斯王の無礼を詰問するために派遣され、その結果、百済は彼の要請に応じて王を変えるという名誉を得ました。彼の娘が履中天皇の妃であったとの説もあります。さらに、推古天皇の時代の軍事行動においても、波多広庭という人物が副将軍として新羅に派遣されています。

八色の姓と官位

日本の歴史において、波多氏は天武朝の八色の姓制度に基づき、皇族出身の一族として朝臣姓を与えられた52氏の一つです。また、羽田朝臣斉という人物が『日本書紀』の編纂に関与し、彼は氏族の起源が波多から羽田に変わってしまった経過を示しています。続日本紀にも波多朝臣という名が見え、彼らが様々な官位に就いていたことが確認されます。

他の波多野系統

波多氏の中には、応神天皇の孫、意富富杼王を祖とする息長氏族や、日本武尊の子孫である武養輦命を祖とする氏族も含まれています。また、波多国造という地祇系氏族もあり、崇神天皇の代には波多国造として地元の神社に祭られていました。百済族や坂上氏族など、異なる系統からも波多姓族が誕生し、地域に根付いています。

波多祝とその系譜

波多祝は、大和国高市郡の波多神社の神職に従事する一族とされており、高皇産霊神の子孫とされます。また、波多祝からは久米氏や波多門部連、波多造などの一族が分派しています。波多神社は、波多氏族の祖神である八代宿禰を奉っており、地域の信仰の中心となっています。

結論

波多氏は、古代から続く重要な氏族であり、その影響は地域ごとに異なります。さまざまな系統と伝承を持ちながらも、彼らは日本の歴史において重要な役割を果たしてきました。波多氏の研究は、古代日本の社会構造を理解するうえで欠かせない要素となるでしょう。

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