津奈木駅

津奈木駅：肥薩おれんじ鉄道の要衝

熊本県葦北郡津奈木町岩城に位置する津奈木駅は、肥薩おれんじ鉄道線の駅として、地域住民にとって欠かせない存在です。駅番号はOR11。津奈木町唯一の鉄道駅であるという点からも、その重要性がわかります。

特に、八代方面から次の湯浦駅までの区間は、肥薩おれんじ鉄道線の中でも最長の8.7kmを誇り、複線となっている点が特徴的です。この区間の複線化は、沿線の発展に大きく貢献していると言えるでしょう。

歴史と変遷：時代と共に歩む駅舎

津奈木駅の開駅は1927年（昭和2年）10月17日、鉄道省鹿児島本線の一部としてまで遡ります。その後、1949年（昭和24年）の日本国有鉄道発足、1987年（昭和62年）の国鉄分割民営化を経て、2004年（平成16年）には九州新幹線の部分開業に伴い、現在の肥薩おれんじ鉄道の駅となりました。

この間、1961年（昭和36年）に貨物取扱いが廃止、1970年（昭和45年）には荷物扱いも廃止され無人化、さらにCTC導入により水俣駅の被管理駅となりました。1968年（昭和43年）には当駅と湯浦駅間の複線化が完了し、ホーム配置も島式から現在の相対式ホームに変更されました。1993年（平成5年）には、現在の駅舎が完成しています。

駅名の由来は、開業時の地名である葦北郡津奈木村にちなみます。「津奈木」という地名は、『肥前国風土記』に記される景行天皇の故事に由来すると言われ、近隣には同じ由来を持つ「小津奈木」という地区もあります。

駅構造と周辺環境：町の玄関口

津奈木駅は、相対式ホーム2面2線を有する地上駅です。駅舎は津奈木町商工会館を併設しており、無人駅として運営されています。

現在の駅舎は近代的な構造ですが、以前は国鉄時代の木造駅舎があり、駅舎内に喫茶店「停車場」が営業していました。この喫茶店は、多くの利用客に愛され、地域に溶け込んだ存在であったと言えるでしょう。

複線化以前は、単式ホームと島式ホームを併設した2面3線の構造でした。複線化に伴い、ホーム配置や線路の配置が変更され、現在の姿になりました。過去の遺構も一部残っており、当時の様子を偲ばせる痕跡も見られます。

駅周辺は住宅地が広がりつつも、田畑も多く残る落ち着いた雰囲気です。国道3号線に近く、産交バスのバス停も駅前にあり、交通の便も比較的良好です。

周辺には、津奈木町立津奈木小学校、津奈木町立津奈木中学校、津奈木町役場、津奈木郵便局などの公共施設に加え、つなぎ美術館、津奈木温泉などの観光施設もあります。また、重盤岩や重盤岩眼鏡橋といった歴史的建造物も存在し、自然と歴史が調和した地域です。

アクセスと今後の展望：地域を繋ぐ役割

津奈木駅は、国道3号線を経由してアクセスできます。バス路線も整備されており、水俣市方面や近隣の町へのアクセスも可能です。かつては、つなぎ温泉から先の路線バスも運行していましたが、現在はデマンドバスが運行しています。

肥薩おれんじ鉄道線は、当駅八代寄りで九州新幹線と交差しており、鉄道ネットワークにおける重要な位置を占めています。今後、地域活性化の観点から、さらなる交通網の整備や観光客誘致に向けた取り組みが期待されます。

津奈木駅は、単なる交通拠点ではなく、地域の歴史、文化、自然を繋ぐ重要な役割を担っています。これからも地域住民の生活を支え、町の発展に貢献していくでしょう。

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