海岸地球局

海岸地球局とは

海岸地球局は、電波法で定められた無線局の一種で、人工衛星を中継して船舶地球局と無線通信を行うために陸上に設置される無線局です。具体的には、インマルサットなどの人工衛星を介して船舶との通信を担う施設で、通信網の管理や地上回線との接続設備も備えています。地球局の一種であり、海上移動業務における海岸局に相当する役割を果たしています。

定義

電波法第63条では、「陸上に開設する無線局であつて、人工衛星局の中継により船舶地球局と無線通信を行うもの」と定義されています。また、電波法施行規則第4条第1項第20号の3では「法第63条に規定する海岸地球局」と規定されています。さらに、電波法施行規則第3条第2項第1号では、海上移動衛星業務を「船舶地球局と海岸地球局との間又は船舶地球局相互間の衛星通信の業務」と定義しています。

概要

海岸地球局は、インマルサットが開設する人工衛星局（インマルサット人工衛星局）を介して船舶と通信を行います。この際、通信網管理機能や地上回線との接続設備が併設されています。具体例としては、KDDI山口衛星通信センターがインマルサット通信を行う海岸地球局として知られています。海岸地球局は、海上における無線通信において重要な役割を担っています。

免許

無線局の免許は、電波法第5条第1項により、原則として外国籍の者には与えられません。しかし、第2項の例外規定により、電気通信業務を目的とする無線局については、外国籍の者にも免許が与えられる場合があります。海岸地球局の種別コードは「TI」で、免許の有効期間は原則として5年ですが、当初の免許に限り、有効期限は4年を超え5年以内の11月30日までとされています。

用途

以前は、海岸地球局の用途は電気通信業務に限られていましたが、現在ではその制限は撤廃され、より幅広い用途での利用が可能になっています。

運用

海岸地球局の運用開始には、電波法第16条第1項ただし書および電波法施行規則第10条の2により、届出が必要です。また、電波法第63条により、原則として常時運用が義務付けられています。特定の周波数帯を使用する海岸地球局は、電波法や関連規則に基づき、特定の周波数を常時聴守しなければなりません。

聴守義務のある周波数

以下の周波数は、指定された海岸地球局が常時聴守する必要があります。

1,537.750MHz
1,538.475MHz
3,605.000MHzから3,623.000MHz
3,612.100MHz
3,616.450MHz
4,192.500MHzから4,200.000MHzまたは4,194.975MHzから4,200.000MHz
4,194.600MHz
4,198.950MHz
4,195.100MHz
4,195.000MHzから4,199.000MHz

これらの周波数には、船舶地球局向けの送信周波数範囲に関する条件があります。

操作

海岸地球局の操作には、原則として第三級海上[[無線通信士]]以上の資格を持つ無線従事者が必要です。ただし、電波法施行規則第33条に規定される「簡易な操作」については、無線従事者の管理下であれば資格は不要です。

無線従事者が不要な操作

無線設備の連絡の設定および終了（自動装置によるものを除く）
回線の試験や技術援助に関する通信操作
プレストーク方式による無線電話の送受切替装置の技術操作

しかし、遭難通信、緊急通信、または安全通信に関する通信操作は、必ず無線従事者が行わなければなりません。

検査

海岸地球局は、設置時に落成検査、定期的な定期検査、変更時に変更検査を受ける必要があります。電気通信業務用の無線局については、登録検査等事業者による検査が可能で、その結果に基づいて検査の一部を省略できます。定期検査の周期は、電気通信業務用は1年、それ以外は5年です。

沿革

1989年（平成元年）：電波法に海岸地球局と船舶地球局が定義され、電波法施行規則にそれぞれの詳細が規定されました。
1993年（平成5年）：地球局の免許有効期限が毎年一定の告示で定められるようになり、後に免許の日から4年を超え5年以内の11月30日までとなりました。
2017年（平成29年）：電波法の定義が変更され、海岸地球局の用途が電気通信業務に限られなくなりました。

脚注

この情報は、電波法および関連法規、告示に基づいています。

関連項目

無線局
地球局
人工衛星局
船舶地球局
* 海岸局

外部リンク

関連する外部リンクは、適宜追加してください。

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