海田和裕

海田和裕：22歳でダービー王に輝いた先行選手

海田和裕（かいだ かずひろ）は、1971年1月12日生まれの元競輪選手です。三重県松阪市出身で、現役時代は日本[[競輪選手会]]三重支部に所属していました。ホームバンクは松阪競輪場です。競輪学校第65期生で、師匠は萩原操（51期）です。身長177cm、体重83kg、血液型はB型。

サッカー少年から競輪選手へ

小中学校時代はサッカーに打ち込み、三重高等学校でもサッカーを続けていましたが、高校3年生の時に自転車競技にも取り組むようになりました。国民体育大会のスプリントで4位入賞を果たしたことが、競輪選手を目指すきっかけとなります。

1989年、競輪学校に第65期生として入学。同期には、吉岡稔真や後閑信一など、後にGIレースで優勝する選手が多数いました。海田は在校競走成績10位（55勝）の成績を収め、1990年4月7日に小倉競輪場でデビュー。同年8月11日には、第1回ルーキーチャンピオンレースで優勝し、初代王者となりました。

吉岡稔真とのライバル関係

海田は着実に力をつけていきましたが、同期の吉岡稔真の活躍に刺激を受け、吉岡を倒すには力でねじ伏せるしかないと考えるようになり、徹底先行を志すようになります。

当時、中部地区の選手層は厚くなく、まとまりも良くありませんでした。そんな中、京都の松本整が海田の走りに注目し、積極的にマークするようになりました。このことがきっかけで、中部地区と近畿地区の選手が連携する「中近ライン」という言葉が生まれました。松本は海田に対して「番手捲り」を仕掛けることもありましたが、海田はそれをバネに、さらに先行力を磨いていきました。

1992年のオールスター競輪（名古屋競輪場）では、海田は初のGI決勝に進出しました。決勝戦には、松本と最大のライバルである吉岡も進出。吉岡に先手を奪われると自分のレースができないと考えた海田は、ホームから松本を連れて先行します。吉岡は受けに回ったところを、2角から捲りを試みるも伸びきれず、井上茂徳がイン捲りで圧勝しました。しかし、井上が内線突破により失格となり、2着だった松本が繰り上がり優勝。松本は優勝インタビューで「海田君のおかげです！」と海田の先行力を讃えました。海田自身は7着に終わりましたが、吉岡に続く期待の新人として注目されるようになりました。

22歳でダービー王に

翌1993年の日本選手権競輪（立川競輪場）では、吉岡が決勝に進めなかった一方で、海田は決勝戦で人気の中心となります。徹底先行型の選手が他にいないこと、メンバー構成から海田が逃げ切れると予想されたからです。

海田は正攻法から先行体勢を取ると、後位を巡って大竹慎吾と伊藤公人が競り合い、双方失格となるなか、海田は後続を寄せ付けず逃げ切り、22歳にしてダービー王に輝きました。三重県登録の選手としては、半田弘之以来のGI優勝者ですが、日本選手権のタイトルは海田が初めての獲得でした。

2度目のタイトル獲得

1996年の全日本選抜競輪（宇都宮競輪場）では、地元を代表する神山雄一郎が人気を集めましたが、海田は68期の新人である馬渕紀明にマークする機会を得ました。馬渕が果敢に先行すると、番手の海田は絶好の展開となり、直線で馬渕を交わして先頭に立ちます。神山が2センターから捲り追い込みを仕掛けてきましたが、僅差で海田が抑えて優勝。今度はマークからのGI制覇となりました。

引退

その後、海田はGI優勝から遠ざかり、決勝戦に進むことさえなくなってしまいました。岐阜勢の台頭や小嶋敬二の活躍など、中部地区の勢力図が変化していく中で、海田は徐々に下降線を辿ります。一時は追い込み選手への転向も試みましたが、自らのスタイルに合わず、晩年まで自力の競走を心がけていました。

FIクラスのレースでは、最後までその捲りが注目を集めていましたが、持病の腰痛に悩まされていました。2008年2月の名古屋競輪場でのFIを最後にレースを欠場し、検査入院したところ、腰痛の原因が腎臓疾患であることが判明。これ以上のレースはファンに期待に応えられないと判断し、2008年4月12日に引退を発表しました。

現役時代の通算成績は、1506戦348勝、優勝回数44回です。

主な獲得タイトル

1993年 - 日本選手権競輪（立川競輪場）
1996年 - 全日本選抜競輪（宇都宮競輪場）


海田和裕は、その徹底した先行スタイルで多くのファンを魅了し、競輪史に名を残す選手の一人です。

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