淳和院

淳和院（じゅんないん）について

淳和院は、平安時代において重要な役割を果たした場所であり、淳和天皇の離宮として知られています。現在の京都市右京区に位置しており、別名を西院と呼ばれています。時代を超えて多くの歴史的事件の舞台となってきたこの院は、平安京の左京四条二坊に存在しました。

歴史の始まり

淳和院の建設された正確な年代は不明ですが、かつては南池院として知られていたこの場所に、813年（弘仁4年）には淳和天皇の実兄である嵯峨天皇が訪れています。後に淳和天皇が即位すると、ここは彼の離宮となり、833年3月22日（天長10年2月28日）、彼はこの地で甥にあたる正良親王（後の仁明天皇）に皇位を譲ることを宣言しました。この時、名字も「淳和院」と名付けられました。

淳和院の変遷

淳和天皇の退位後、正子内親王（淳和太后）と共にこの地に住まい、彼女は宗教的な活動にも従事しました。やがて、承和の変により、上皇の遺児・恒貞親王が皇太子を剥奪され、この院に閉じ込められる事件が発生しました。この結果、正子内親王や恒貞親王は、仏道修行に専心することとなりました。

874年（貞観16年）、火災によりこの場所は焼失しますが、その後再建され、正子内親王は尼寺としての役割を果たすようになります。886年1月4日（元慶5年12月11日）、恒貞親王の要望から、淳和院と関連する重要な墓を管理するために、朝廷は公卿を別当に任命しました。これが「淳和院別当」と呼ばれる職位であり、次第に源氏長者との結びつきが強まりました。

源氏長者との関係

1140年（保延6年）以降、村上源氏の源氏長者が淳和院と奨学院の別当を兼務することで、両者の勤務が定着しました。この流れは明治維新まで続き、次第に源氏の嫡流から出されることが一般的でした。しかし、1383年には室町幕府の義満が源氏長者に任命され、以降は将軍が別当を務める例が増えました。応仁の乱以降、実質的には淳和院は衰退し、その名は名目のみに留まったとされています。

徳川時代以降

戦国時代が終わり、徳川家康が将軍に任じられると、彼は源氏長者と淳和院及び奨学院の別当を兼ねるようになりました。この慣習は江戸幕府時代を通して続き、別当職は将軍に引き継がれました。

現在の淳和院

明治時代には西院村が設置されたものの、後に京都市右京区に編入されました。現在でも西院という名前は町名や西院駅名に残っています。淳和院の跡地には、日照山高山寺の門前に淳和院跡の碑が立てられ、訪れる人々にその歴史を伝えています。

発掘の歴史

淳和院の遺構は、1927年（昭和2年）の発掘調査で明らかにされ、多くの瓦や土器の断片が見つかりました。これらの発見は、当時の暮らしや文化を知る手助けとなっています。

淳和院は、平安時代の権力の中心であり、その歴史的背景をひも解くことで、当時の政治や宗教の影響を理解することができます。

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