淺瀬川健次

淺瀬川健次（あさせがわ けんじ）

1942年5月4日、大阪府河内長野市に生まれ、後に大阪市浪速区で育った淺瀬川健次は、伊勢ヶ濱部屋（入門時は荒磯部屋）に所属した元大相撲力士です。本名は亀山健治。身長177cm、体重139kgという体格で、左四つ、寄りを主な得意手としていました。最高位は東前頭筆頭を二度記録しています。

生い立ちと入門

実家は大阪市内で食堂を経営しており、次男として生まれた健治は、中学校時代にその体格を見込まれ、元小結・若瀬川の熱心な勧誘を受けて荒磯部屋に入門しました。1957年5月場所、15歳で初土俵を踏み、当初の四股名は本名と同じ「亀山」でした。

苦難を乗り越えて

三段[[目]]に在籍中、「若乃峯」と名乗っていた時期には、成績不振から廃業を決意し、理髪学校を卒業したばかりの弟に頼んで丁髷を落としてしまうという出来事もありました。しかし、浅香山親方（元・若瀬川）の説得により思いとどまりました。その後、「淺瀬川」の四股名は、浅香山の名跡と、彼の現役時代の四股名に由来しています。

幕内での活躍

着実に力をつけ、1962年11月場所で十両昇進、1964年3月場所には地元大阪で新入幕を果たします。新入幕の場所こそ負け越したものの、翌5月場所で十両優勝を遂げ、すぐに幕内に復帰しました。

幕内では、重い腰で寄る相撲でファンを魅了し、特に大阪府立体育会館で行われる3月場所では、地元出身ということもあり、大きな人気を博しました。1967年3月場所には、横綱・大鵬を破り、その連勝を34で止めるという快挙を成し遂げ、実家から父親が祝福に駆けつけるほどの大騒ぎとなりました。

三役昇進への壁

數々の活躍を見せながらも、三役への昇進は叶いませんでした。1964年11月場所では東前頭2枚目で横綱・柏戸を破り8勝7敗と勝ち越しましたが、翌場所で小結に昇進したのは別の力士でした。1966年3月場所でも、同様に勝ち越しながらも三役昇進はならず、技能賞を受賞するに留まりました。この場所では、同部屋の先輩が小結に昇進しており、不運が重なりました。

奇病からの復活

その後、左目に寄生虫が侵入するという奇病（左眼慢性化膿症）に罹り、幕下まで番付を落としましたが、1968年1月場所では幕下優勝を果たし、同年7月場所で幕内に返り咲き、カムバックを果たしました。1969年9月場所には西前頭2枚目まで番付を戻し、大関・北の富士を破るなど、再び上位で活躍しました。同年7月場所の千秋楽には、大関・清國の優勝パレードで旗手を務めました。

引退とその後

1970年9月場所以降は幕内に戻ることなく、1971年5月場所で引退。その後は年寄・浦風を襲名しましたが、1975年に廃業しました。

引退後は、東京都文京区本郷で相撲料理店「ちゃんこ 浅瀬川」を経営していました。

2017年9月22日、心不全のため埼玉県狭山市内で逝去。75歳でした。

家族

次男の剛也（たかや）も力士となり、父と同じ「浅瀬川」の四股名を名乗りましたが、関取にはなれませんでした。

人柄

淺瀬川はユーモア溢れる人柄で知られ、入院中にもジョークを飛ばして周囲を笑わせたというエピソードが残っています。

引退相撲

1971年10月3日に蔵前国技館で行われた引退相撲では、横綱・玉の海正洋が土俵入りを披露しましたが、その8日後に急逝し、これが公の場に姿を見せた最後の場所となりました。断髪式で切り落とした髷は、「ちゃんこ 浅瀬川」に飾られています。

主な成績と記録

通算成績：493勝471敗34休
幕内成績：188勝236敗11休
現役在位：84場所
幕内在位：29場所
三賞：技能賞1回
金星：4個
十両優勝：2回
幕下優勝：2回

改名歴

亀山 健治（1957年5月場所-1959年3月場所）
若乃峯 健治（1959年5月場所-1961年9月場所）
淺瀬川 健次（1961年11月場所-1967年11月場所）
淺瀬川 剛也（1968年1月場所-1971年5月場所）

年寄変遷

* 浦風 剛也（1971年5月-1975年1月）

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