清澄寺 (鴨川市)

千光山清澄寺

清澄寺は、千葉県鴨川市清澄に位置する日蓮宗の大本山です。山号は千光山。
日蓮聖人が出家得度し、立教開宗した寺として知られ、総本山久遠寺、大本山池上本門寺、大本山誕生寺と共に日蓮宗の四霊場とされています。

概要

寺の縁起によれば、虚空蔵菩薩を祀る一寺が始まりで、不思議法師と呼ばれる僧によって開かれました。千光山という山号は、山頂近くの柏の木が千の光を放っていたことに由来し、清澄寺という寺号は、柏の木の下の池に清泉が湧き出たことに由来すると伝えられています。

かつては天台宗の巨刹として栄えましたが、江戸時代に真言宗に改宗。その後、昭和に入り日蓮宗に改宗し、現在に至ります。

地理

清澄山は、千葉県で3番目に高い山であり、境内全域が南房総国定公園に含まれています。温暖な気候のため、暖帯性植物と亜熱帯性植物が自生する珍しい場所です。また、清澄山は安房・上総の分水嶺でもあり、養老川や小櫃川の源流となっています。

境内にある旭が森は、富士山を除き、本土で最も早く初日の出を拝める場所として知られています。

歴史

771年（宝亀2年）：不思議法師が開山。
836年（承和3年）：慈覚大師円仁が再興し、天台宗となる。
1233年（天福元年）：善日麿（後の日蓮）が入山。
1253年（建長5年）：日蓮が立教開宗。
1618年（元和4年）：真言宗に改宗。
1949年（昭和24年）：日蓮宗に改宗。

日蓮大聖人得度開宗之霊場

日蓮聖人は、1222年（承久4年）に安房国で生まれ、幼名を善日麿と名付けられました。12歳で清澄寺に入り、道善房に師事。16歳で出家し、是聖房蓮長という名を与えられました。虚空蔵菩薩に「日本第一の智者となし給へ」と祈願し、鎌倉や京都などで遊学した後、清澄寺に戻り、1253年（建長5年）に立教開宗を宣言しました。

伽藍・境内

仁王門: 文久3年建立。千葉県指定有形文化財。
本堂（摩尼殿）: 天和2年建立。虚空蔵菩薩像が安置されています。
祖師堂: 昭和48年建立。日蓮像が安置されています。
鐘楼堂: 平成7年建立。古梵鐘があります。
観音堂: 明治13年再興。“安房国札三十四観音”の第十七番札所。
中門: 正保4年創建。千葉県指定有形文化財。
宝物殿: 昭和56年建立。日蓮ゆかりの品を展示。
本院: 平成29年改修。
凡血の笹: 日蓮が断食修行を行った際、吐血した血が付いたとされる笹。
石幢（髪塚）: 応永31年の銘がある石幢。千葉県指定有形文化財。
妙見堂: 清澄山頂の奥ノ院に位置し、北辰妙見大菩薩を祀る。
信育道場: 宗門行事などに使用。
道善房墓所: 日蓮の師・道善房の墓所。
報恩殿: 道善房の尊像を安置。
千年杉: 樹齢約800年の大杉。国の天然記念物。
星の井戸: 井戸の中に星影を宿す井戸。
練行堂: 慈覚大師円仁や日蓮が修行した堂宇。
旭が森: 日蓮が初めて題目を唱えた場所。立教開宗の聖地。
日蓮聖人銅像: 大正12年建立。
女人堂: 日蓮が母と面会した場所と伝えられる。
涕涙石: 日蓮に会えない母が涙を流したとされる石。

文化財

清澄寺には、多くの文化財が所蔵されています。

千葉県指定有形文化財: 仁王門、中門、石造宝篋印塔、石幢など。
鴨川市指定有形文化財: 石造宝篋印塔、木造薬師如来坐像など。
天然記念物: 清澄の大スギ（国の天然記念物）、清澄のモリアオガエル（千葉県指定天然記念物）など。

清澄寺は、日蓮宗の信者だけでなく、歴史や自然に興味のある人々にとっても魅力的な場所です。四季折々の美しい景色の中で、心静かに過ごせるでしょう。

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