源広綱

源広綱

源広綱（みなもと の ひろつな）は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した武将です。生年は不詳ですが、清和源氏の一流である摂津源氏の出身で、源頼政の末子として生まれました。兄である源仲綱の養子となっています。

生涯

治承4年（1180年）、父・頼政や養父・仲綱が以仁王（もちひとおう）と共に平家打倒の兵を挙げ討ち死にした際、広綱は仲綱の次男・有綱と共に知行国の伊豆にいました。その後、伊豆で挙兵した源頼朝の傘下に入り、平氏追討軍に加わります。

寿永3年（1184年）6月5日、広綱は一ノ谷の戦いでの功績が認められ、源頼朝の推挙により従五位下・駿河守に叙任されます。頼朝は、同じ清和源氏の一門に対しても冷淡な態度を取ることがありましたが、広綱や足利義兼、平賀義信などは厚遇し、他の者たちとの間に明確な差を設けていました。

義弟にあたる有綱は、源義経の娘婿となり、義経と行動を共にしたため、頼朝によって自害に追い込まれます。しかし、広綱はこの事件に連座することはありませんでした。文治5年（1189年）には奥州合戦に従軍し、さらに建久元年（1190年）11月には頼朝の上洛に随行します。

ところが、翌月、頼朝が関東へ下向する日の朝、広綱は誰にも告げず突然姿を消してしまいます。その翌年の6月、神護寺の文覚（もんがく）によって、広綱が遁世し、上醍醐にいることが鎌倉に伝えられました。出奔の理由については、頼朝が右大将に任官した際の供奉人に選ばれなかったことや、駿河国の国務に関する希望が叶えられなかったことなどが挙げられています。

広綱の子孫は、太田氏として繁栄し、戦国時代初期には著名な武将である太田道灌（どうかん）を輩出しています。

系譜

父：源頼政 - 源三位
養父：源仲綱 - 以仁王の挙兵で自害
母：不詳
妻：不詳
* 男子：源隆綱 - 丹波国五箇庄を領す、仕土御門天皇、子孫は太田氏

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