源経成

源経成：平安時代中期の公卿、華麗なる経歴と神頼みの逸話

源経成は、平安時代中期に活躍した名高い公卿です。名門・醍醐源氏に連なる血筋を持ち、その華麗な経歴は多くの史料に記録されています。

経成は、大納言源重光の孫、越前守源長経の長男として誕生しました。幼少期から優れた才能を示し、順調に昇進を重ねていきます。治安3年（1023年）、諸陵助として官途に入り、その後、右近衛将監や六位蔵人を経て、万寿5年（1028年）には侍従に任ぜられました。この頃には既に、その能力の高さが周囲に認められていたと言えるでしょう。

少納言を経て、さらに従五位上、正五位下へと昇叙。その後、後朱雀朝に入ると、左少弁兼五位蔵人、権右中弁、右中弁と、要職を歴任します。特に弁官としての活躍は目覚ましく、その昇進のスピードは著しいものでした。権左中弁を経て、長久5年（1044年）には蔵人頭（頭弁）を兼任。蔵人頭は天皇の側近として重要な役割を担う職であり、経成の信頼の厚さが窺えます。

後冷泉天皇の即位後、一旦蔵人頭を辞任しますが、すぐに再任され、永承3年（1048年）にはついに参議に任ぜられ、公卿の地位に昇りました。公卿として議政官の職務に携わる傍ら、修理大夫や兵衛督（検非違使別当）などを兼ね、その多様な才能を発揮しました。

昇進は止まることを知りません。永承6年（1051年）には正三位、天喜5年（1057年）には従二位に昇叙。そして康平4年（1061年）、ついに権中納言に昇進します。この昇進には、興味深い逸話が伝わっています。

権中納言の欠員が生じた際、経成は熱心にその地位を志望していました。『古事談』によると、経成は石清水八幡宮に参拝し、神主に自身の功績を強調しながら、権中納言への就任を祈願したと伝えられています。検非違使別当として多くの強盗を捕らえ、処刑したことを功績として挙げたのです。しかし、神主は殺生を禁じる八幡宮の神意を理由に、経成の願いを聞き入れようとはしませんでした。

それでも経成は諦めず、八幡宮の御託宣の文言を引用し、国家のために殺生をせざるを得ない場合もあると神主に反論。その説得力に感服した神主が改めて祈願した結果、経成は願いを叶え、見事権中納言に就任したと伝えられています。この逸話は、経成の強い意志と、当時の社会情勢を反映していると言えるでしょう。

康平8年（1065年）には正二位に昇進し、その輝かしい経歴に新たな1ページを刻みました。しかし、治暦2年（1066年）7月9日、58歳でこの世を去ります。権中納言正二位という栄誉ある地位に就いたままの逝去でした。

源経成の生涯は、平安貴族の栄華と権力闘争、そして信仰の側面を垣間見せる興味深いものです。数々の要職を歴任し、高い能力と強い意志で成功を収めた一方、神頼みに頼る一面も持ち合わせていた、複雑で魅力的な人物像が浮かび上がります。彼の生涯は、平安時代中期の政治・社会を知る上で貴重な資料として、現代にまで語り継がれているのです。彼の功績は、様々な史料や記録から紐解き、より深く理解していくことができます。後世に残された記録から、平安時代の中枢で活躍した彼の生き様を想像し、その魅力を再発見することができるでしょう。

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