源頼隆

源頼隆

源頼隆（みなもと の よりたか）は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した河内源氏の武将です。源義家の七男・陸奥七郎義隆の三男として生まれました。父・義隆が相模国毛利庄を領していたことから、毛利頼隆とも呼ばれ、後に信濃国水内郡若槻庄を領してからは若槻を号しました。

生涯

平治の乱と幼少期の苦難

平治元年（1159年）の平治の乱において、父・陸奥七郎義隆は竜華越（現在の愛知県春日井市付近）で源義朝の身代わりとなって討ち死にしました。源氏が敗北すると、平氏による源氏の縁者に対する厳しい探索が行われ、生後50日余りの頼隆も捕らえられました。翌年、頼隆は下総国（現在の千葉県北部・茨城県南西部）の豪族・千葉常胤（ちば つねたね）の下に配流されることとなります。

千葉常胤は、源氏の貴種である頼隆を庇護し、大切に育てました。この常胤の庇護が、後の頼隆の人生に大きな影響を与えることになります。

源頼朝との出会いと源氏再興への貢献

治承4年（1180年）8月、伊豆国（現在の静岡県伊豆半島）に配流されていた源義朝の遺児・源頼朝が、打倒平氏の兵を挙げました。石橋山の戦いにおいて、頼朝は平氏方の大庭景親らに敗れて房総（現在の千葉県南部）へと逃れます。

この状況下で、千葉常胤は頼朝への加勢を表明し、自身の館に迎え入れました。同年9月17日、常胤は頼隆を伴って頼朝の前に伺候し、頼隆を用いるよう申し入れました。頼朝は、頼隆が源氏の孤児であることに温情を示し、大軍を引き連れて随身した常胤よりも上座に据えるなどの厚遇を施したと伝えられています。

その後、頼隆は源氏一門として遇され、文治元年（1185年）9月3日には、頼朝が父・義朝の遺骨を勝長寿院（しょうちょうじゅいん）に埋葬した際、遺骨を運ぶ輿を平賀義信と共に担ぎました。さらに、頼隆・義信・惟義（これよし）のみが御堂の中に参列を許されるという栄誉に浴しています。

建久元年（1190年）10月の頼朝の上洛、建久6年（1196年）3月の東大寺落慶供養などにも随行し、源氏の重臣としての地位を確立しました。

晩年

頼朝の死後、頼隆は所領である信濃国若槻庄（現在の長野県長野市若槻地区）に下り、従五位下・伊豆守に叙せられています。その後の足跡については、詳しい記録は残されていません。

源頼隆は、平治の乱という悲劇を乗り越え、源頼朝による源氏再興に貢献した武将として、その名を歴史に刻んでいます。



参考文献
* 関幸彦・福田豊彦編著　『源平合戦事典』　吉川弘文館、2006年。

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