四部分類

四部分類:中国古典籍の分類法



四部分類は、中国の膨大な古典籍を整理するために考案された、伝統的な図書分類法です。経典、歴史書、諸子百家文学作品集の四つの部門に分類するこの体系は、現代の図書館分類法の先駆けとして、中国の知的文化遺産の整理と保存に大きな役割を果たしてきました。

歴史的背景



四部分類の成立には、それ以前の分類法が土台として存在します。西漢の『七略』は、六芸、諸子、賦など七つの部門に分類する体系でしたが、その後、西晋の『中経新簿』で四部による分類法が登場します。代の『隋書』「経籍志」で経・史・子・集の四部が確立し、これが現在の四部分類の原型となります。

代には、乾隆帝の命により『四庫全書』が編纂されました。これは四部分類に基づき、中国古典籍を網羅した大規模な叢書であり、四部分類が広く普及する契機となりました。近代以降は、デューイ十進分類法などの西洋式分類法が導入されましたが、漢籍を専門とする図書館では、現在も四部分類が利用されています。

四部の構成と内容



四部分類は、経部、史部、子部、集部の四つの部門から構成されます。それぞれの部門には、多様な種類の文献が含まれています。

経部: 儒教の根本経典とその注釈書を収めます。五経、四書といった儒教の中核となる文献や、それらに関する解釈、訓詁学の辞書などが含まれます。儒教思想の根幹をなす文献群です。
史部: 歴史書、地理書、法令詔勅公文書などを収めます。中国歴史を記録した正史、地方誌、王朝や個人の歴史などを網羅し、中国歴史と社会を理解する上で不可欠な資料が含まれます。
子部: 諸子百家の思想書、道教仏教、医学、数学、天文学、兵法、農書、美術、工芸、類書、譜録など、多様な分野の文献が分類されています。幅広い分野を網羅し、古代中国の思想、科学技術、芸術、文化の多様性を反映しています。現代の小説分類にあたる「小説家」も子部に含まれますが、これは主に文言小説を指します。
集部: 歌、賦、散文、小説などの文学作品と、それに関連する批評や解説書などが分類されます。白話小説は、主にこの集部に分類されます。

近年では、叢書を独立した部門として加え、五部分類とする場合もあります。これは、複数の文献をまとめて収録した叢書を、より適切に分類するためです。

四部分類の意義と現代



四部分類は、単なる分類法にとどまらず、中国の知的文化遺産を体系的に整理し、後世に伝えるための重要な仕組みでした。現代においても、漢籍研究において重要な役割を果たしており、古典籍の理解を深める上で不可欠な分類体系です。一方で、現代の多様な情報に対応するため、四部分類を補完する、あるいは代替する新たな分類法の必要性も認識されています。しかし、中国の古典文献を理解する上で、四部分類は依然として重要な意味を持ち続けています。

関連分類法



四部分類を参考に、現代的な分類法も開発されています。例えば、ハーバード燕京研究所で作成されたイェンチン分類などが挙げられます。これらは、伝統的な四部分類を踏まえつつ、現代的なニーズに対応した分類体系となっています。

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