澤柳大五郎

澤柳大五郎

澤柳大五郎（さわやなぎ だいごろう、1911年8月23日 - 1995年11月3日）は、日本の美術史家であり、東京教育大学名誉教授を務めました。西洋美術、特にギリシア美術の研究において多大な功績を残しました。

生涯

1911年、東京に生まれる。父は教育者の澤柳政太郎。

1924年 - 東京高等師範学校附属小学校（現・筑波大学附属小学校）卒業。
1930年 - 東京高等師範学校附属中学校（現・筑波大学附属中学校・高等学校）卒業。
1935年 - 東北帝国大学卒業。
1949年 - 東京教育大学助教授に就任。
1953年 - 東京教育大学教授に昇任。
1959年 - 文部省在外研究員として2年間欧州に留学し、西洋美術の研究を深める。
1968年 - 東京教育大学教授を退官し、早稲田大学教授に就任。
1982年 - 早稲田大学教授を定年退職。

業績

澤柳大五郎は、西洋美術研究の先駆者である児島喜久雄の弟子として、その研究を受け継ぎました。特にギリシア美術に関する研究に力を注ぎ、数多くの著作や翻訳を通じて、その魅力を日本に紹介しました。また、木下杢太郎（太田正雄）の研究や著作画集の編集にも携わりました。

彼の著作は、歴史的仮名遣いで刊行されているものが多く、その文体にも特徴があります。

主な著作

『鴎外箚記』 (十字屋書店、1949年 / 小澤書店、1989年)
『ギリシアの美術』 (岩波新書、1964年)
『ギリシア神話と壷絵』 (鹿島出版会、1966年)
『風花帖』 (みすず書房、1975年) - エッセー集
『ギリシア美術襍稿』 (美術出版社、1982年)
『パルテノン彫刻の流転　エルギン・マーブルズ』 (グラフ社、1984年)
『木下杢太郎記』 (小澤書店、1987年)
『アッティカの墓碑』 (グラフ社、1989年)
『ヘゲソの鼻』 (みすず書房、1996年) - 遺著・エッセー集
『法隆寺 金堂釋迦三尊像』 (岩波書店、1949年) - 編著
『法隆寺 寶藏小金銅像』 (岩波書店、1954年) - 編著
『様式の歴史　西洋美術のかたち』 (美術出版社、1963年) - 編著
『世界の美術館6　アテネ美術館』 (講談社、1968年) - 編著
『世界の美術館30　ギリシア国立美術館』 (講談社、1970年) - 編著
『アクロポリス』 (里文出版、1996年) - 編著。ヨーロッパ滞在時に撮影した写真と文集。

主な訳書

ヴィンケルマン 『希臘藝術摸倣論』(座右賓刊行會、1943年)
フルトヴェングレル、ウルリヒス 『ギリシア・ロマの彫刻』(岩波書店、1956年)
ディルタイ 『近代美学史　近代美学の三期と現代美学の課題』(岩波文庫、1960年)
ゲオルク・ムゥヒェ 『フレスコ讃歌』(岩崎美術社、1975年)
エルンスト・ブシォール 『或るアッティカの少女の墓』(岩波書店、1978年)
ハンス・バウマン 『大昔の狩人の洞穴』(岩波少年文庫、1980年)

記念論集

『アガルマ　澤柳先生古稀記念美術史論文集』(同編集委員会編、同朋舎出版、1982年)
ヨーロッパ精神史の基本問題 : 下村寅太郎先生退官記念論文集、岩波書店、1966年

参考文献

『アガルマ　澤柳先生古稀記念美術史論文集』同編集委員会編、同朋舎出版、1982年

関連項目

* 筑波大学附属中学校・高等学校の人物一覧

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