濤沸湖

濤沸湖（とうふつこ）

濤沸湖は北海道の東部に位置し、網走市と小清水町の境界に広がる約900ヘクタールの汽水湖です。この湖は網走国定公園に含まれており、2005年にラムサール条約に登録されました。豊かな自然環境と多様な生態系が非常に魅力的な観光地となっています。

地理

この湖は細長い砂丘に囲まれており、その砂丘がオホーツク海からの直接の影響を遮断しています。しかし、湖の北西端は海に接続しており、海水が入り込むことで汽水湖となっています。また、湖の西には藻琴湖が位置し、湖の北側にはオホーツク海に挟まれた砂州に小清水原生花園があります。

流入する河川にはスッポチ川や浦士別川などがあり、湖から直接海に流れる河川は存在しません。

名称の由来

「濤沸湖」という名称は、アイヌ語の「トプッ（to-put）」に由来しています。アイヌの言語では湖自体の名称は「ト（to）」、すなわち「湖」を指し、和人は湖の口の地名を基にこれを湖の名称としました。

自然

湖の周辺には塩性湿地帯が広がっており、特にアッケシソウの開花シーズンには観光客が訪れる一大スポットとなっています。毎年6万羽以上のガンやカモの仲間が飛来し、オオヒシクイ、オオハクチョウ、ヒドリガモ、ミコアイサ、ウミアイサといった希少な鳥類も生息しています。また、オジロワシやオオワシなどの猛禽類も多く観られ、日本では珍しいシマアオジの繁殖が確認されています。さらに、近年ではタンチョウの繁殖も見られるようになっています。

湖内には藻場が存在し、魚介類の生息地ともなっています。これらの豊富な自然資源は、観光業や地域の漁業にも影響を与えています。

環境保護と利用

1958年に網走国定公園の特別地域に指定され、1992年には国指定濤沸湖鳥獣保護区に指定されました。特定エリアの立入制限に関する自主ルールは2014年に策定され、地域の環境保護が進められています。

一時期、湖では鳥への餌付けが行われていましたが、これが生態系に悪影響を及ぼす懸念から、2010年以降は禁止されています。これは、他の地域で鳥インフルエンザが確認されたためです。

湖ではカキの養殖やヤマトシジミ、アサリの漁獲も行われ、地元漁業関係者は湖沼性ニシンの増殖に取り組んでいます。

交通アクセス

濤沸湖へのアクセスは、北海道旅客鉄道の釧網本線を利用するのが便利です。北浜駅と浜小清水駅からは、臨時駅の原生花園駅が5月から10月にかけて利用可能です。さらに、網走バスによる小清水線や斜里線もあります。特に、白鳥公園入口やとうふつ橋、原生花園といった停留所からアクセスできます。自由降車区間が設けられているため、停留所以外でも降りることが可能です。

このように、濤沸湖は自然美と生態系の多様性に満ちた地区であり、訪問する価値のあるスポットです。

もう一度検索