無意根山

無意根山：札幌の秘境、その歴史と自然

概要

北海道札幌市南区定山渓と虻田郡京極町にまたがる無意根山は、標高1464メートルを誇り、余市岳に次ぐ札幌市で2番目に高い山です。アイヌ語の「ムイ・ネ・シリ（箕のような山）」に由来するその名は、特徴的な地形をよく表しています。支笏洞爺国立公園内に位置し、大正時代から登山やスキーの目的地として親しまれてきました。近年は山小屋の焼失など変化も見られますが、今もなお多くの登山者を引きつけています。

山名の由来と歴史

無意根山の名前は、アイヌ語の「ムイ・ネ・シリ（箕のような山）」に由来します。これは、山の形が箕を逆さにしたように見えることにちなむと言われています。1870年（明治3年）の『蝦夷山脈記』には「無比寧山」と表記されており、歴史的な変遷も垣間見えます。余市岳が一般的に知られるようになったのは1980年代以降ですが、無意根山はそれ以前から登山とスキーの盛んな場所として人気を集めていました。

地形と地質

無意根山の山頂部は南北に約1キロメートルに渡って平坦な半月形をしており、東麓は急峻な斜面となっています。全体としては、山名の由来にもなった「箕」を逆さまにしたような独特の地形です。地質学的には、第四紀初頭に2回の火山活動によって形成されました。1回目の活動で基底溶岩が噴出し、2回目の活動で山頂部溶岩が堆積しました。周辺の長尾山や中岳なども、無意根山溶岩によって形成されたと考えられています。中新世の緑色凝灰岩や安山岩を貫いて噴出した溶岩は、無意根山の地質学的特徴を際立たせています。

登山ルート

無意根山には、大きく分けて「薄別コース」と「元山コース」の2つの登山ルートがあります。

薄別コース：元山コースが開設される前は唯一の登山道でした。国道230号から宝来沢林道に入り、宝来小屋、無意根尻小屋跡を経由して山頂を目指します。かつて存在した無意根尻小屋は2024年に焼失しました。このコースは、急斜面や湿原など変化に富んだ地形が特徴です。旧山頂からは羊蹄山やニセコ連峰などの展望が楽しめます。
元山コース：冬季にはスキーツアーコースとして知られていますが、夏期も登山道として利用できます。定山渓温泉から元山へ向かい、無意根山荘跡から登山を開始します。急坂を登り切った先にある千尺高地からは、大沼（ムイネシリポロトー）を望むことができます。なだらかな尾根道を進み、薄別コースと合流して山頂へ至ります。

山小屋の変遷

無意根山には、過去にいくつかの山小屋が存在していました。

無意根尻小屋: 1931年建設。標高900メートル地点に位置し、北海道大学が管理していました。2024年に焼失しました。
無意根山荘: 1965年建設。元山コース登山口にあり、札幌市が運営していましたが、2006年に取り壊されました。
* 奥無意根小屋（三角小屋）: 芳賀スキー店が建設したとされる小屋で、現在は存在しません。

これらの山小屋は、登山者にとって重要な休憩場所や宿泊施設として機能していましたが、老朽化や利用者の減少、そして火災などにより、現在は無意根尻小屋が焼失し、残る小屋はありません。

参考文献

この記事の情報は、以下の文献を参考に作成されました。（文献リストは省略）

結論

無意根山は、その独特の地形、豊かな自然、そして歴史的な背景を持つ魅力的な山です。登山ルートや山小屋の状況は変化していますが、これからも多くの登山者を引きつけ、北海道の自然の魅力を伝える存在であり続けるでしょう。 今後の登山計画を立てる際には、最新の登山情報を確認することをお勧めします。

もう一度検索