燕元

燕元（えんげん）とは

燕元は、五胡十六国時代の後燕の君主、慕容垂（ぼよう すい）の治世で使用されたとされる元号です。期間は384年正月～386年2月とされています。

燕元の記録

ただし、燕元という元号の記録は、『晋書』の慕容垂載記にのみ見られます。

他の史書での記述を見てみましょう。

『資治通鑑』・『十六国春秋』には、前秦の建元20年を廃止して燕の元年を称した、という記述があります。しかしこれは、紀元を改めたのみで、独自の元号を用いたという記録ではありません。後趙の石勒（せきろく）、前燕の慕容皝（ぼよう こう）・慕容儁（ぼよう しゅん）、代の拓跋什翼犍（たくばつ じゅうよくけん）も、王位を称していた時代は同様に元号を用いずに紀元のみを改めるという手法を用いており、燕元もそれを踏襲したものと考えられます。

清の鍾淵映（しょうえんえい）の著書『歴代建元考』では、燕元は前燕の慕容皝の元号であるとしています。東晋の穆帝（ぼく）の永和元年（345年）に燕元と改元し、4年間使用されたものとしています。

このように、燕元という元号の存在については、史料によって記述が異なっているのが現状です。

燕元があったとされる期間の出来事

384年（燕元元年）：慕容垂が鄴（ぎょう）を包囲。
385年（燕元2年）：高句麗が遼東地方へ進出。

参考文献

* 李崇智『中国歴代年号考』（中華書局 2004年）

燕元の真実については、今後の研究の進展が期待されます。

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