爾朱彦伯

爾朱彦伯について

爾朱彦伯（じしゅ げんはく、? - 532年）は、北魏時代の軍人であり、本貫は秀容郡に位置しています。彼は有名な軍人、爾朱栄の従弟でもあります。彼の家族は軍人としての伝統を持ち、歴史的な背景を持つ一族でした。

生い立ちと初期の経歴

彦伯は北魏の華州刺史、爾朱買珍の子として生まれました。彼は軍事に才覚を発揮し、奉朝請からスタートして奉車都尉へと昇進しました。後には爾朱栄の下で府長史としてその力を奮いました。このように彼は北魏政権の中で重要な役割を果たすようになります。

530年、長広王元曄が帝に擁立されると、彦伯は侍中として仕官しました。彼はその期間中、広陵王元恭が龍花仏寺に潜伏していた際に、何度も往来し、常に謹直な態度を追求しました。この姿勢は彼の性格をよく示しています。

権力闘争とその影響

531年、元恭が本格的に帝に擁立されると、彦伯の義兄である爾朱兆は自らがその謀議に参加していなかったことに怒り、爾朱世隆を攻める意向を示しました。元恭は華山王元鷙を派遣して爾朱兆を慰めようと試みましたが、爾朱兆は態度を変えず、騒動は続きました。

この際、爾朱世隆は兄の彦伯に仲介を託しました。最終的に彦伯は元恭の宴会に招待され、そこで酔った結果、侍中の源子恭とやり取りを重ねました。その後、彦伯は使持節や驃騎大将軍、右光禄大夫、大都督の地位を与えられ、博陵郡開国公に封ぜられました。さらにその後、彼は爵位が王に昇進するなど、権力の中枢にまで達しました。

晩年と悲劇

しかし、旱害の影響で司徒への昇進を辞退するなど、権力の座からの離脱を余儀なくされました。それでも彼は儀同三司や侍中などで重要な地位を保ち続けました。

532年、爾朱天光らが韓陵で高歓に敗北するという動乱に巻き込まれ、彦伯は河橋に駐屯する動きに出ましたが、爾朱世隆が同行しなかったため、孤立した状況に追い込まれます。張歓らの襲撃が始まると、彦伯は禁裏で当直していましたが、すぐに事態を把握し、混乱の中逃走します。しかし、間もなく捕らえられ、最終的には爾朱世隆と共に斬首され、その首は高歓へと送られました。

家族とその後

彦伯の家族には、弟の爾朱仲遠、爾朱世隆、爾朱世承、爾朱弼がいます。また、彼の子供には爾朱敞が存在し、彼は後に西魏、北周、隋に仕官し、金州総管や辺城郡公に昇進しました。彼の血筋は続き、北魏時代の歴史にしっかりと刻まれています。

参考文献

• - 『魏書』巻75 列伝第63
• - 『北史』巻48 列伝第36

爾朱彦伯の歩みは、北魏時代の複雑な政局の中で家族の絆と個人の運命が交錯する様を象徴しています。

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