爾朱天光

爾朱天光（じしゅ てんこう）は、496年に生まれ、532年に没した北魏の軍人です。彼は秀容郡を本拠地とし、爾朱栄の親族にあたります。若くして優れた決断力を持ち、弓術と乗馬に長けていたことから、爾朱栄に重用されました。

爾朱氏の軍事作戦において、天光は常に重要な役割を担いました。527年、爾朱栄が并州と肆州を拠点とすると、天光はその下で都将となり、肆州の軍を統率しました。528年に孝明帝が亡くなると、爾朱栄は洛陽に向けて挙兵し、天光は肆州の事務を代行しました。その後、撫軍将軍、肆州刺史、長安県開国公に任じられ、爾朱栄の根拠地を守備しました。

529年、邢杲の乱を鎮圧する際には、元天穆の下で邢杲を撃破する功績を挙げました。元顥が洛陽に入ると、天光は爾朱栄と合流し、尚書僕射、并肆雲恒朔燕蔚顕汾九州行台となり、并州の事務を代行しました。元顥が敗死した後、天光は洛陽に戻り、驃騎将軍などの位を受け、広宗郡公に改封されました。

530年、万俟醜奴率いる反乱軍が関中に侵入すると、天光は討伐を命じられ、賀抜岳や侯莫陳悦らを率いて出陣しました。少ない兵力で出発したものの、各地で兵を補充し、反乱軍を撃破して入関しました。天光は、万俟醜奴の兵力分散策を見抜き、奇襲を仕掛けて勝利し、万俟醜奴を捕らえることに成功しました。その後も反乱は続きましたが、天光は王慶雲や万俟道洛を捕らえて鎮圧し、功績を認められて以前の官爵に戻されました。

その後も、天光は秦州や南秦州の反乱を鎮圧し、勢力を拡大しました。しかし、爾朱栄が殺害された後、天光は混乱に巻き込まれます。孝荘帝から広宗王の爵位を、爾朱世隆が擁立した元曄から隴西王の爵位を受けますが、爾朱兆が洛陽を占領したことを知ると、天光は洛陽に入り爾朱世隆らに面会しました。

爾朱世隆らは元曄を廃位し、別の皇族を帝位につけようと図り、天光は広陵王元恭を推挙しました。531年、元恭が即位すると、天光は開府儀同三司の位を加えられ、尚書令、関西大行台を兼ねました。高歓が反乱を起こすと、天光はこれに備えましたが、爾朱氏の間での連携の欠如が、高歓の勢力拡大を許すこととなりました。

532年、爾朱氏の軍と高歓の軍が韓陵で決戦を行い、爾朱氏は大敗しました。天光は斛斯椿の裏切りにより、洛陽に入ることができず、捕らえられ、最終的には高歓によって洛陽で処刑されました。享年37歳。

爾朱天光は、その短い生涯の中で、北魏末期の動乱期に数々の戦で活躍しました。しかし、最終的には政争に巻き込まれ、悲劇的な最期を遂げました。彼の生涯は、当時の北魏の混乱と、激しい権力闘争を物語っています。

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