玉祖神社

玉祖神社（たまのおやじんじゃ）

玉祖神社は、山口県防府市大崎に位置する神社で、古くは周防国の一宮として知られています。この神社は、同市内にある他の3つの玉祖神社や、大阪府八尾市にある玉祖神社の総本社とされています。その歴史と文化的な価値から、多くの人々が訪れる由緒ある場所です。

祭神

玉祖神社の現在の祭神は以下の2柱です。

玉祖命（たまのおやのみこと）：玉祖連の祖神とされる神で、岩戸隠れの際に勾玉を作ったと伝えられています。このため、宝石関係者や、レンズを「玉」と呼ぶことから眼鏡関係者、水晶を使用することから時計関係者などから信仰を集めています。
不詳：もう一柱の祭神は、『延喜式神名帳』には「玉祖神社二座」とあるものの、詳細は不明です。石凝姥命や天鏡命とする説がありますが、確証はありません。玉祖命と石凝姥命は、日本神話の岩戸隠れの場面に初めて登場し、天孫降臨の際には五伴緒として天孫とともに天降ったとされています。

歴史

概史

玉祖神社の創建については、具体的な物証はないものの、勾玉や管玉を作る集団である玉造部が、その祖神である玉祖命を祀るために創建したと考えられています。

『日本書紀』には、景行天皇が熊襲征伐のために西行する際、この地の神夏磯媛（かみかしひめ）を長とする一族が神器を捧げて恭順を示し、その際に天皇が玉祖神社で戦勝祈願を行ったという記述があります。

社伝によれば、祭神である玉祖命がこの地で亡くなったため、社殿を造営して祀ったのが始まりとされています。神社の近くには、玉祖命の墳墓と伝えられる「玉の石屋」が存在します。平安時代には周防国の一宮として崇敬を集め、中世以降も歴代の領主から厚く信仰されました。明治4年には国幣小社に列格され、大正4年には国幣中社に昇格しました。戦後は神社本庁の別表神社となっています。

東大寺再建のために佐波川流域を訪れていた俊乗坊重源は、再建完了の感謝として建久6年（1195年）に玉祖神社に社殿と10町の免田を寄進しました。神社では、重源が加判した「周防国一宮造替神殿宝物等目録」（国・重要文化財）を所蔵しています。

神階

貞観9年（867年）3月10日：従四位下から従三位に昇叙（『日本三代実録』）- 表記は「玉祖神」
康保元年（964年）：従一位

境内

[境内の様子がわかる写真などがあれば挿入]

主な祭事

玉祖神社では、秋の例祭の前夜に「占手神事（うらてしんじ）」が、当日早朝には土鼎で炊いたご飯を神前に供える「炊きあげ神事」が行われます。これらの祭事は、神功皇后が三韓征伐の際に当社で軍の吉凶を占った故事に由来するとされています。占手神事は、白褌を身につけた二人の軍士が相撲のような所作を行うもので、夜の神事、占手相撲とも呼ばれます。現在は夕宵に行われ、春の大祭にも奉納されます。この占手神事は、山口県指定の無形民俗文化財に指定されています。

文化財

玉祖神社には、以下の文化財が指定されています。

重要文化財（国指定）

周防国一宮造替神殿宝物等目録 建久六年九月廿八日 重源加判（古文書） - 1976年（昭和51年）6月5日指定。

選択無形民俗文化財（国選択）

玉祖神社の占手相撲 - 1997年（平成9年）12月4日選択。

山口県指定文化財

無形民俗文化財

玉祖神社の占手神事 - 1976年（昭和51年）11月24日指定。

防府市指定文化財

有形文化財

太刀無銘（伝信国）（工芸品） - 1969年（昭和44年）3月31日指定。
太刀銘吉包（工芸品） - 1969年（昭和44年）3月31日指定。

天然記念物

玉祖神社の社叢 - 1986年（昭和61年）3月3日指定。

その他

玉祖神社は、天然記念物に指定されている黒柏鶏の発祥の地としても知られており、境内には顕彰碑が建てられています。また、境内では数羽の黒柏鶏が飼育されています。

交通アクセス

鉄道：JR西日本山陽本線 防府駅より徒歩約45分
バス：防長交通「総合医療センター前」バス停より徒歩約20分

脚注

[脚注の内容を必要に応じて記述]

関連図書

安津素彦・梅田義彦編集兼監修者『神道辞典』神社新報社、1968年、37-38頁
白井永二・土岐昌訓編集『神社辞典』東京堂出版、1979年、221頁
菅田正昭『日本の神社を知る「事典」』日本文芸社、1989年、209頁

関連項目

玉祖神社 (八尾市) - 式内社。

玉祖神社は、その歴史、祭神、文化財、そして豊かな自然が調和した、訪れる人々にとって特別な場所です。

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