王謀

王謀の生涯と業績

王謀（おう ぼう、生没年不詳）は、中国後漢時代の末期から三国時代にかけて活躍した蜀漢の政治家です。字は元泰といい、益州の漢嘉郡出身です。彼は劉備の家臣団の一員として重要な役割を果たしました。

事跡と評価

王謀は、楊戯が記した『季漢輔臣賛』において劉備家臣団の中で第15位に名を挙げられるほど、その地位は高かったです。彼は身を修め、慎み深い人物として知られており、陳寿からもその立ち居振舞いや道徳が優れていると評価されています。これらの評価は、彼の政治能力や人間性を物語っており、多くの人々に信頼されていました。

劉璋への仕官と役職の昇進

王謀は初め、劉璋の下で仕官し、巴郡太守へ任命されました。その後、彼は治中従事に就任しました。建安19年（214年）の劉備による益州平定後も、彼はその地位を維持し、別駕従事へ昇進しました。このように、彼は新たな体制の中でも重要な役割を果たすことができました。

九卿への任命

建安24年（219年）、劉備が漢中王に即位すると、王謀は黄柱や頼恭と共に九卿の一員、具体的には少府に任命されました。これは彼の能力と信頼の証と言えるでしょう。さらに、建安25年（220年）には許靖や諸葛亮とともに、劉備に即位を願う上奏文を提出し、彼の政治的意識の高さを示しています。

関内侯と太常への異動

建興元年（223年）には関内侯に封じられ、その後、太常の職にも就きました。このような地位への昇進は、彼の政治的手腕や地元での評価の高さを反映しています。また、蔣琬が漢嘉郡出身の張休に対して、王謀の後継者について尋ねた際、張休が「元泰を継ぐ人は州の中ですらおりません。ましてや私の郡などにはいる筈がありません」と答えたエピソードも、王謀の卓越性を物語っています。

伝承と記録の欠如

しかしながら、王謀の素晴らしい業績にもかかわらず、陳寿が『三国志』を編纂した際には、当時の史料が失われていたため、個別に立伝されることはありませんでした。このため、彼の名前はあまり知られていないのが現実です。また、小説『三国志演義』でも彼の名前は劉備の即位時に唯一登場するのみで、持っていた影響力や功績については詳しく語られていないのが残念です。

結論

王謀は、その政治的な才能や優れた性格から、蜀漢の歴史の中で重要な人物の一人です。彼の生涯は、当時の動乱の中にあってどのように立ち振る舞ったかを示しており、その評価は今もなお承認されるべきものです。彼の業績が正当に評価されることを願いつつ、その存在が歴史に埋もれずに語り継がれていくことを期待します。

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