王連 (蜀漢)

王連（おう れん）

王連（おう れん、生年不詳 - 224年）は、中国後漢末期から三国時代の蜀漢に仕えた政治家。字は文儀（ぶんぎ）。荊州南陽郡の出身。

生涯

元は劉璋に仕え、梓潼県令を務めていた。213年、劉備が益州に侵攻すると、王連は城門を閉ざして抵抗した。劉備はその忠義を重んじ、無理に攻めようとはしなかったという。

益州平定後、劉備は王連を什邡県令、後に広都県令に任命し、王連はそれぞれの地で優れた治績を挙げた。その後、司塩校尉に昇進し、塩と鉄の専売を監督した。この専売によって蜀漢の国庫収入は大幅に増加し、財政基盤の安定に貢献した。また、人材の発掘にも熱心で、呂乂・杜祺・劉幹らを抜擢し、彼らは後に高位に上っている。

その後、蜀郡太守・興業将軍に昇進し、引き続き塩府の仕事を担当した。223年、屯騎校尉・丞相長史に任命され、平陽亭侯に封ぜられた。

同年、益州南部の四郡で大規模な反乱が発生すると、諸葛亮は自ら軍を率いて鎮圧しようとした。しかし、王連は南方の地の不利な点を指摘し、諸葛亮の出陣を諫止した。王連は、蜀漢にとって諸葛亮がかけがえのない存在であることを強く訴え、その説得が功を奏し、王連の存命中は諸葛亮も成都に留まっていたという。

しかし、王連はまもなく病死したため、225年に諸葛亮は南征を決行した。

子の王山が跡を継ぎ、後に江陽太守となった。

歴史家の陳寿は、王連の節義を高く評価し、季漢輔臣賛では、その功績を称えている。

柿沼陽平は、王連を卓越した財務官僚として評価している。王連の死後、専売制が不振に陥ったため、諸葛亮は新たな財源を求めて南征に踏み切ったのではないかと推測している。

小説『三国志演義』では、南征に向かおうとした諸葛亮を諌める場面のみが登場する。

評価

王連は、蜀漢の財政基盤を確立した功労者として高く評価されている。また、人材の発掘にも熱心であり、多くの有能な人材を育てた。その忠義心と優れた行政手腕は、後世にまで語り継がれている。

参考文献

* 『三国志』蜀書 王連伝、呂乂伝

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