甘露寺房長

甘露寺房長の生涯

甘露寺房長（かんろじ ふさなが）は、室町時代前期に活躍した著名な公家であり、その経歴は波乱に富んでいます。彼は権大納言・甘露寺兼長の次男として生まれ、家督を早くから継ぐこととなりました。房長は正四位上、左大弁という高位の官職に就いていましたが、その人生は様々な出来事に影響されたとされています。

家督継承と初期の経歴

房長は応永21年（1414年）に、兄の清長が突然亡くなったことを受けて、父の兼長の判断により甘露寺家の家督を継ぐこととなりました。応永22年には昇殿し、治部少輔を経た後、同年の正月には正五位下に昇進しました。その後、右衛門佐を経て、応永24年には左衛門佐に任ぜられ、さらなる官位の昇進を果たしました。

官職の昇進と激動

応永27年には右少弁、五位蔵人に任じられ、翌年には左少弁に転じました。また、応永32年には右中弁、左中弁に昇進し、蔵人としても活躍しました。しかし、同年11月に平野臨時祭の役供を担当する予定であった房長は、平野祭に参加しており、遅刻するという不手際を犯しました。その結果、称光天皇の激怒を買い、除籍と蔵人解任という厳しい処分を受けることになります。

この時、房長は出来事の説明を試みたものの、天皇の怒りは収まらず、次第にその影響が彼の官職に波及することとなりました。幸いにも、半年ほど経つと天皇の怒りが和らぎ、応永33年には従四位下に昇進し、参内も許可されることに。これにより、政治的な活動を再開することができました。

最後の時期

応永34年の正月には従四位上に昇進し、後花園天皇の即位後には甥の忠長とともに蔵人頭に任じられ、左大弁に進むことになります。しかし、病に苦しむことが多く、永享2年（1430年）11月には出仕を停止しました。この際には、癩病に罹っていたとの記録があり、病状悪化に伴い恥じらいもあったため、辞任を決意したとされています。

房長が役職を辞した後、彼は義教から家督を忠長に譲る許可を受けるとともに、自身と子たちの扶持を頼みました。その後、永享4年（1432年）6月に彼は病死し、甘露寺家の家督は一時的に忠長に移ったものの、永享6年には忠長が義教の不興を買った影響で、房長の嫡男・親長が家督を引き継ぐこととなりました。

家族構成と系譜

甘露寺房長の父は甘露寺兼長であり、母は日野時光の娘であることが明らかになっています。彼の子供には甘露寺親長と良助が存在し、さらに女子には三条西公保室がいます。このように、甘露寺房長はその時代における公家の中でも重要な人物として位置づけられており、歴史の中に名を刻んでいます。

参考文献

• - 井原今朝男『室町期廷臣社会論』（塙書房、2014年（平成26年）） ISBN 978-4-8273-1266-9 P292-293

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