田手畷の戦い

田手畷の戦い：大内氏と少弐氏の激突、そして龍造寺氏の台頭

田手畷の戦いは、享禄3年（1530年）に北部九州の覇権を巡り、周防国の大名である大内氏と肥前国の大名である少弐氏の間で繰り広げられました。

戦いの背景

大内氏と少弐氏は、室町時代を通じて北九州（大宰府）の覇権を争う宿敵同士でした。明応6年（1497年）には、大内義興が少弐政資を滅ぼし、かつて鎮西の覇者であった少弐氏を肥前の一地方勢力に転落させることに成功しています。

大内義隆（義興の子）は、宿敵である少弐資元（政資の子）に止めを刺すべく、筑前国守護代の杉興運に命じて大内方の北九州の諸将を率いさせ、資元の居城である肥前勢福寺城を攻撃させました。

戦いの経過

少弐方の諸将（龍造寺家兼や馬場頼周など）が筑後川支流の田手川付近で奮戦しましたが、兵力で劣勢の少弐勢は、敗色が濃厚でした。しかし、鍋島清久・清房父子や石井忠清を主将とする石井党らが率いる赤熊（しゃぐま）奇襲隊の活躍によって、遠征してきた杉興運を敗走させることに成功しました。この戦いで、大内方は横岳資貞・筑紫尚門などが戦死しています。

戦後の影響

この戦いの後、佐賀平野南部の有力領主らを味方につけ、戦勝に貢献した龍造寺氏が、少弐家中での発言権を強め、戦国大名化していく契機となりました。龍造寺氏は、この勝利を足掛かりに勢力を拡大していきます。

一方、この勝利に勢いづいた少弐氏は、逆に大宰府に侵攻するなど一時勢力を回復させましたが、大内家の周防国守護代である陶興房が九州に乗り込んでくると再び劣勢に陥りました。さらには、義隆が自身で大軍を率いて攻勢をかけて来ると、頼みの家兼にも見放され、追い詰められていきます。

天文4年（1535年）には、資元は自刃して果て、少弐氏は一時滅亡しました。しかし、その後、少弐氏の遺臣たちが再興を目指し、戦国時代を通じて生き残りをかけて戦うことになります。

その後の田手川

この田手畷の戦いが行われた田手川の地では、この戦いの334年後に再び戦いが発生しました。明治7年（1874年）の佐賀の乱です。佐賀の乱は、明治政府に対する不満が爆発した士族反乱であり、田手川は再び戦場となりました。

田手畷の戦いは、北部九州の戦国時代の幕開けを告げる戦いであり、その後の歴史に大きな影響を与えました。また、佐賀の乱という近代の戦いの舞台ともなり、田手川は歴史の重要な地点として記憶されています。

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