島津氏久

島津氏久（しまづ うじひさ）

島津氏久は、南北朝時代に活躍した武将であり、守護大名です。島津氏の6代目当主であり、奥州家の初代当主としても知られています。大隅、日向、筑後の守護を歴任しました。

生涯

1328年、薩摩国山門院（現在の鹿児島県出水市）で生まれました。父は島津貞久、母は大友親時の娘です。足利尊氏から偏諱を賜り「氏久」と名乗りました。

当初、氏久は父や兄とともに北朝方として南朝と戦いました。観応の擾乱では、足利直冬と一色範氏の争いに際し、範氏側として戦いましたが負傷しました。その後、1356年に南朝に転じ、畠山直顕と大隅を巡って争いました。その後、北朝に帰順し、1363年に父から大隅守護職を譲られました。

1375年、室町幕府が九州の南朝勢力鎮圧のため、九州探題として今川了俊を派遣すると、氏久は大友親世とともにこれに協力しました。しかし、了俊が少弐冬資を謀殺したことで、了俊との関係が悪化し、帰国しました。その後、了俊から筑後守護職を提示されましたが、これを拒否し、了俊の南九州制圧に抵抗しました。そのため、1376年に大隅守護職を解任されました。

1376年、了俊の息子・満範が南九州の征討に向かい、氏久は甥の島津伊久と共に了俊に降伏しました。しかし、その直後、了俊・満範父子と敵対する南九州の国人一揆を調略し、1378年に了俊と決別しました。満範が都之城を包囲すると、志布志城から救援に向かい、1379年の蓑原の合戦で勝利し、満範を都之城から追い落としました。

1381年に再度北朝へ復帰しましたが、国人一揆の動揺に乗じて所領を侵略し、国人一揆を崩壊させました。1387年、60歳で死去しました。氏久は大隅守護に復帰することはなかったものの、嫡男の元久が大隅守護に復帰しました。

氏久は、馬術の達人であり、馬術書『在轡集』を著したと言われています。また、居城を東福寺城から清水城に移し、以降、清水城が島津氏の居城となりました。

墓は、鹿児島県志布志市の即心院跡と、鹿児島県鹿児島市の福昌寺跡にあります。法名は玄久齢岳です。

補足

氏久は、南朝と北朝の間で立場を転々としながらも、最終的には島津氏の勢力拡大に貢献しました。特に、大隅における勢力基盤を固め、後世の島津氏の発展に大きく寄与しました。また、文化人としても優れており、馬術書を著すなど、その才能を発揮しました。

関連事項

南方神社 (鹿児島市)
東福寺
橘木城

参考文献

瀬野精一郎『足利直冬』吉川弘文館、2005年
国史大辞典編集委員会編『国史大辞典 7 しな - しん』吉川弘文館、1986年
都城市史編さん委員会編『都城市史 通史編 中世・近世』都城市、2005年

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