異国警固番役

異国警固番役とは

異国警固番役（いこくけいごばんやく）は、鎌倉時代後期に鎌倉幕府が九州の御家人に対して課した軍役です。文永の役（1274年）後、元（モンゴル帝国）の再襲来に備えるため、その体制が強化されました。

概要

異国警固番役は、守護の指揮下に入り、一定期間（4番編成で3ヶ月交代制）、博多湾をはじめとする元の襲来が予想される九州沿岸部の警備にあたる軍役でした。本来、この任務は九州に所領を持つ御家人が担うものでしたが、弘安の役（1281年）などを経て、その対象は拡大しました。東国や西国の御家人だけでなく、公領や寺社本所領の荘官など、幕府との主従関係がない非御家人にも課されるようになりました。

異国警固番役に動員された者は、京都や鎌倉での大番役（御家人の京都や鎌倉での警備）が免除されるという措置がとられました。しかし、御家人にとっては、異国警固番役が長期化するにつれて、経済的な負担が増大しました。

特に、九州に所領を持つものの、本拠地が九州以外の地方にある御家人の間では、異国警固番役の長期化に伴い、現地に土着する動きが見られました。また、本国（本拠地）と九州の間で庶流が独立したり、家中で分裂が生じたりする例もありました。例えば、下総千葉氏と九州千葉氏の分裂などがその例として挙げられます。

鎌倉幕府滅亡後も、室町幕府の鎮西探題の下で博多警固番役が設置され、15世紀初めまで継続されました。この博多警固番役を異国警固番役の改称と捉え、元や高麗への備えとする説がある一方、南朝勢力への対策として新設されたとする説もあり、見解が分かれています。

福岡市中央区の町名である「警固」は、この異国警固番役の警固所が置かれていたことに由来しています。

脚注

異国警固番役は、鎌倉幕府の防衛体制における重要な柱の一つでした。
異国警固番役は、御家人の負担を増大させ、社会構造の変化を促す要因にもなりました。

関連項目

武家役
長門警固番役
元寇防塁
防人

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