異常感覚

異常感覚（パレステジア）とは

異常感覚（パレステジア、英: Paresthesia）とは、ピリピリ、チクチク、ヒリヒリ、痺れなど、通常とは異なる異常な感覚がある状態を指します。一般的ではありませんが、冷たい感覚や皮膚上を何かが這うような感覚として表現されることもあります。この感覚は体のどの部分にも起こりえますが、特に腕や脚に多く見られます。

異常感覚には、一時的なものと慢性的なものがあります。一時的なものは、正座後の痺れのように、比較的短時間で解消されることが多いですが、慢性的なものは、原因となる疾患の治療が必要となる場合があります。

語源と定義

"Paresthesia"という言葉は、ギリシャ語の「そば」を意味する「para」と「感覚」を意味する"aesthesis"に由来します。英語圏では、口語的に「pins and needles（ピンと針）」と表現されることもあります。

これらの感覚は、皮膚に実際に何かが触れているわけではなく、体内で発生します。類似の言葉に「錯感覚（dysthesia）」がありますが、これは何かに触れられた際に異常な感覚が生じる場合にのみ使用されます。ただし、書籍や辞書によっては、異常感覚と錯感覚の定義が異なっている場合があり、注意が必要です。

神経学用語集改訂第3版では、異常感覚・錯感覚とparesthesia/dysthesiaを明確に対応付けていません。

原因と診断

一時的な異常感覚の一般的な原因は、神経の圧迫によるものです。例えば、長時間同じ姿勢でいたり、重いものを持ち上げたりすることで、神経が圧迫され、痺れやチクチク感が生じることがあります。

長期間にわたる異常感覚は、より深刻な疾患が原因となっている可能性があります。考えられる原因としては、以下のようなものがあります。

手根管症候群
脳卒中
多発性硬化症
横断性脊髄炎
腫瘍
ビタミンB12欠乏症
鉛中毒
糖尿病
ギラン・バレー症候群
脳炎

異常感覚の診断は、症状の詳細な問診、神経学的診察、そして必要に応じて追加の検査によって行われます。追加の検査には、血液検査、画像検査（MRIなど）、神経伝導検査などが含まれます。

治療

異常感覚の治療は、根本的な原因によって異なります。原因となっている疾患を治療することが最も重要です。

症状を緩和するための取り組みとしては、以下のようなものが用いられることがあります。

カプサイシンクリーム：皮膚の感覚を鈍らせることで、痛みを軽減します。
カルバマゼピン、ガバペンチン：神経の興奮を抑えることで、異常な感覚を軽減します。これらの薬剤は、抗てんかん薬としても使用されます。

これらの治療法は、あくまで症状を緩和するためのものであり、根本的な原因を解決するものではありません。医師の指示に従い、適切な治療を受けることが重要です。

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