白南雲

白南雲の生涯と功績

白南雲（はく なんうん、朝鮮語：ペク・ナムン）は、1894年2月11日に生まれ、1979年6月12日に亡くなった日本統治時代の朝鮮及びその後の南北朝鮮において著名な経済学者であり、政治家であった。彼は、朝鮮社会経済史を専門とし、韓国のマルクス主義歴史学の先駆者として知られている。

学問の道

全羅北道高敞郡の貧しい家庭で育った白南雲は、水原白氏の出身である。1911年に結婚した後、1911年から朝鮮総督府附属水原農林学校に入学し、農業政策について学び、1915年に卒業。その後、江華公立普通学校の教員となったが、1918年には東京に留学し、日本の東京高等商業学校に合格。さらに1925年には東京商科大学（現在の一橋大学）を卒業し、高田保馬に師事した。

留学中、彼は当時の日本の知識人層に広がっていたマルクス主義の影響を強く受け、大学卒業後の1925年から1938年まで延禧専門学校で商科教授を務め、朝鮮の社会経済史に関する研究を続けた。1933年には『朝鮮社会経済史』を出版し、続いて1937年には『朝鮮封建社会経済史』を発表。これらの著作は、当時の歴史観を批判するものであり、多くの論争を巻き起こした。

政治活動と北朝鮮へ

しかし、1938年から1940年にかけては社会主義活動を理由に大日本帝国によって収監された。戦後、日本の降伏直後に彼は朝鮮学術院を設立し、院長に就任する。京城帝国大学の教授として、在朝鮮アメリカ陸軍司令部との交渉を通じて大学の独立性や教授会の自治権を確立することに尽力した。

1948年8月には最高人民会議代議員に選出され、９月には朝鮮民主主義人民共和国の初代教育大臣に就任。その後も、翌年からは朝鮮社会科学院の院長を務めるなど、政治的にも重要な役割を果たした。彼は、南朝鮮労働党出身者が粛清される中で生き残り、最高人民会議常任委員会副委員長、最高人民会議議長、そして祖国統一民主主義戦線議長という要職を歴任し続けた。

最後の時

1979年に彼は86歳で亡くなるが、その生涯は朝鮮半島の歴史に大きな影響を与えた。彼は、単なる学者だけでなく、朝鮮における政治的見解においても重要な立場にあり続け、その意思は後の世代に大きな影響を与えた。

子孫の物語

彼の孫である脱北者が日本の石川県で発見された事例もある。彼は、白南雲の娘の配偶者である父親が朝鮮労働党の中間幹部であることを語っており、その後の人生においても政治的な背景を持っていた。脱北者としての経験から、彼は朝鮮半島の歴史や白南雲の教えの重要性を若い世代に伝える役割を持っていたと言える。

著作と論文

白南雲は多くの著作を残しており、特に以下の書籍が有名である。『經濟學全集. 第61巻：朝鮮社會經濟史』や『朝鮮社會經済史. 第2巻：朝鮮封建社會經済史. 上 高麗の部』などが挙げられる。また、1946年から1955年度に関する論文や「今日の朝鮮と明日の朝鮮」なども彼の重要な業績である。

彼の学問と政治的活動は、朝鮮半島の未来に向けても深い影響を与え、彼の遺産は今もなお多くの人々に尊重されている。

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