白毫

白毫（びゃくごう）

白毫とは、仏（如来）が眉間の少し上に生やしているとされる長く白い毛のことです。一般には右巻きにくるりと丸まっているとされ、その長さは1丈5尺（約4.5メートル）に達すると考えられています。この白毫は、眉間に位置するため「眉間白毫」とも呼ばれ、仏教の教義においては特に重要な特徴の一つとして位置づけられています。三十二相の中では31番目にあたる特徴のため、白毫相、または眉間白毫相と称されることもあります。

白毫は特別な光を放ち、周囲の世界を明るく照らす力があるとされています。この現象は、『法華経』の序品に描かれたエピソードからも窺えます。その中には、釈迦（ガウタマ・シッダールタ）が無量義処三昧の瞑想に入った際に、白毫が光を放ち、東方の万八千の世界を照らす場面が描写されています。「爾時仏 放眉間白毫相光 照東方万八千世界」という言葉が示すように、白毫は仏教において神聖な存在とされています。

また、白毫の位置はインド哲学の第6チャクラ、アージニャーと密接に関連しています。この位置には、ヒンドゥー教でシヴァ神などが持つ「第三の目」にもリンクすることがあります。ヒンドゥー教徒によるビンディーやティラカの装飾と混同されることが多いですが、実際には直接の関連は薄いとされています。

仏教美術における白毫の表現

仏教美術では白毫は、如来や菩薩などの重要な像に付けられる特徴です。一方で、明王や天部、童子には付けられません。仏画においては、白毫は通常白い丸や渦巻きの形で表現され、仏像の膨らみとして彫られることが一般的です。近年では、水晶や真珠の宝石がはめ込まれることも多く、アクセントとしての役割を果たしています。さらに、最近ではガラスやアクリル樹脂が使用されることもありますが、古い仏像の場合、白毫がもともと付いていたものの、時間の経過とともに失われていることがあります。

仏教の三十二相には造形が難しい特徴も多く含まれていますが、白毫は造形が比較的容易であるため、最も目を引く特徴の一つとして多くの仏像に見られます。

白毫にちなんだ名称

白毫という名称は他の分野にも使われています。例えば、白茶においては、その若芽を指して「白毫」と呼び、この茶は「白毫茶」とも称されることがあります。これは、若芽には白い毛が密生していることから名付けられています。また、紅茶の茶葉の種類である「ペコー」（または「ピコー」）は、白毫の福建語の発音に由来し、茶葉分類において特別な位置を占めています。

関連する寺院

さらに、白毫にちなんだ寺院も存在します。奈良市に位置する白毫寺は、本尊に阿弥陀如来坐像を持ち、その白毫に由来しています。また、丹波市にも白毫寺があります。

関連項目

白毫は、お釈迦さまや仏教の教義を象徴する重要な要素であり、チャクラやその他の文化的背景とも関連が深い存在です。

もう一度検索