益田親施

益田親施（ますだ ちかのぶ）

益田親施は、江戸時代末期、激動の幕末に長州藩士として生きた人物です。長州藩の永代家老であり、須佐領主である益田家の14代目当主として、その名を歴史に刻みました。益田元宣の三男として生まれ、幼名は兼施と名乗っていましたが、後に長州藩主・毛利敬親から偏諱を授かり、親施と改名しました。

生涯

天保4年（1833年）9月2日、益田元宣の三男として誕生しました。母は益田房清の娘・孝子です。嘉永2年（1849年）、父・元宣が亡くなり、兄も既に他界していたため、益田家の家督を継承しました。同年、吉田松陰の山鹿流兵学に入門し、武士としての基礎を築きます。

嘉永6年（1853年）には、アメリカ合衆国のマシュー・ペリーが浦賀に来航すると、浦賀総奉行に任命され、対応に当たりました。この頃から、時代の変化を肌で感じていたのかもしれません。安政3年（1856年）には、長州藩の国家老に就任し、藩政の中枢で活躍しました。

安政5年（1858年）、通商条約問題が表面化すると、益田親施は周布政之助らと共に、朝廷の意思に従い攘夷を断行すべきだと主張し、江戸幕府に提言しました。さらに、「朝廷に対しては忠節、幕府に対しては信義、祖先には孝道」という藩の三大原則を掲げ、長州藩の進むべき道を示しました。

文久3年（1863年）には、上洛して孝明天皇に謁見し、真木保臣らと共に過激な尊皇攘夷運動に身を投じます。しかし、同年8月18日の政変で、長州藩をはじめとする尊皇攘夷派が京都から追放されてしまいます。益田親施は、七卿落ちで追放された7人の公卿と共に長州へ帰国することとなりました。

失った勢力を取り戻すため、翌元治元年（1864年）に再び上洛し、福原元僴、国司親相、久坂玄瑞、来島又兵衛らと共に長州軍を指揮して戦いましたが、薩摩藩・会津藩連合軍の前に敗北してしまいます（禁門の変）。長州に帰国後、益田親施は責任を取る形で領地の阿武郡須佐に引きこもりました。

しかし、同年に行われた第一次長州征伐で、幕府軍から責任を問われ、徳山藩に身柄を預けられます。そして、同年11月11日、惣持院にて切腹を命じられ、自刃しました。享年32歳という若さでした。

この時、実子の精次郎（後の精祥）はまだ3歳と幼かったため、妹・房子の夫である桂親澄（後に益田親祥と改名）が中継ぎとして家督を継承しましたが、翌慶応元年（1865年）3月に精次郎が正式に家督を相続しました。

関連作品

益田親施は、激動の時代を生きた人物として、以下の作品に登場しています。

天皇の世紀 - 演：宮川洋一 （ABCテレビ・国際放映、1971年）
白虎隊 - 演：荒木茂 （日本テレビ年末時代劇スペシャル、1986年）
白虎隊 - 演：並木史朗 （テレビ朝日、2007年）

関連項目

長州藩の家臣団

益田親施は、幕末の激動期に、その信念を貫き、若くして命を落とした悲劇の武士として、後世に語り継がれています。

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