相馬盛胤 (十五代当主)

相馬盛胤：戦国時代を駆け抜けた武将

相馬盛胤（そうま もりたね）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将・大名で、相馬氏の15代当主です。陸奥国行方郡小高城（現在の福島県南相馬市小高区）を拠点に、激動の時代を生き抜きました。

生い立ちと伊達氏との関係

享禄2年（1529年）、相馬氏14代当主・相馬顕胤の嫡男として生まれた盛胤は、母が陸奥守護・伊達稙宗の娘という、伊達氏と深い血縁関係にありました。また、妻は現在の伊達市にあった懸田城主・懸田義宗の娘であり、伊達氏との繋がりは非常に密接でした。しかし、伊達稙宗が長男・晴宗と対立し、天文の乱が勃発すると、相馬氏はその争いに巻き込まれていきます。父・顕胤は稙宗派として晴宗と戦い、盛胤もまた稙宗派と見なされるようになりました。

南奥州の激しい戦い

伊達氏の内紛に乗じて蘆名氏が独立すると、相馬氏は伊達氏と蘆名氏という南奥州の二大勢力の間に挟まれ、さらに田村氏、岩城氏、常陸の佐竹氏といった周辺勢力との関係も考慮しながら、自らの立場を選択せざるを得ない状況に立たされました。特に伊達氏との争いは激しく、稙宗が隠居した後も、丸森城と伊具郡周辺を巡って抗争が続きました。この争いは、1540年代から1590年代までの半世紀にも及ぶ長期戦となりました。

1547年、蘆名氏や田村氏といった稙宗派と、伊達晴宗派との対立が激化。相馬氏は、政略結婚によって蘆名氏と関係を持つ一方、田村氏を挟撃する形となりました。1548年には、岩城氏が相馬領に侵攻するなど、相馬氏は周辺勢力からの脅威に常に晒されていました。天文の乱は、足利義輝の仲介によって一旦和睦が成立しますが、南奥州の諸大名や国人領主は、その後も覇権を争い続けました。

相馬氏の家督を継承

1549年、父・顕胤の死により家督を継いだ盛胤は、妹を田村清顕に嫁がせ、その際に標葉郡の一部を化粧料として譲りました。この頃、盛胤の妻の実家である懸田氏が伊達氏に滅ぼされ、相馬氏を取り巻く情勢はますます厳しさを増しました。

1557年、伊達晴宗と戦い、1559年には伊達稙宗が小高城を訪問し、盛胤の嫡男・義胤に自分の娘を嫁がせることを薦めました。1560年、義胤は稙宗の娘を正室として迎え、伊達氏との関係を深めました。

1562年、盛胤は佐竹氏と戦い、その後和睦。1563年には家臣の反乱を鎮圧し、亘理氏との戦いにも加勢しました。1564年には、亘理氏を援けて名取郡の北目を攻めるなど、周辺地域との戦いが絶えませんでした。

伊達氏との激戦

1565年、将軍足利義輝や伊達稙宗、佐竹義昭が相次いで死去し、相馬氏と伊達氏の間で領土問題が発生。盛胤は、田村氏との関係を維持しながら、伊達輝宗と伊具郡丸森城を巡って争うことになりました。

1566年、亘理氏と共に伊具郡の小斎・金津を攻め落とし、1568年には伊達輝宗と戦いました。1569年には、盛胤の正室が死去し、その供養のため金性寺を建立しました。

1570年、岩城氏との戦いで富岡城を奪還され、伊具郡丸森城を再び攻め落としました。1571年には、亘理氏の居城を攻撃。1573年には、二階堂氏が伊達氏から離反する動きがありました。

1575年、盛胤は伊達輝宗との戦いで敗北。しかし、家臣の活躍により危機を脱しました。1576年には、伊達氏との戦いが激化し、一進一退の攻防を繰り広げました。1578年、盛胤は家督を嫡男・義胤に譲り隠居しましたが、その後も政治・軍事活動に関与し続けました。

晩年と相馬氏の存続

隠居後も、相馬氏と伊達氏との争いは続きましたが、1583年、田村清顕の仲介により和議が成立しました。しかし、有力大名の死去が相次ぎ、奥羽の情勢は大きく変化。相馬氏は蘆名氏や佐竹氏と連合して伊達政宗と戦いましたが、劣勢に立たされました。

1589年、伊達氏によって宇多郡の拠点を奪われ、蘆名氏が滅亡すると、相馬氏は滅亡の危機に直面しました。盛胤は、家名の存続のために伊達氏への服属を提案しましたが、嫡男・義胤はこれを拒否。盛胤は、武士の本懐を遂げるため、切腹を決意しました。しかし、豊臣秀吉の小田原征伐が始まったため、伊達氏の侵攻は中断。相馬氏は、秀吉によって所領を安堵され、近世大名として生き延びることができました。

1600年の関ヶ原の戦いでは中立を保ち、翌1601年、相馬盛胤はこの世を去りました。その生涯は、激動の戦国時代を生き抜き、相馬氏の存続に尽力した、まさに戦国武将そのものでした。

相馬盛胤は、激しい戦乱の中で、一族の存続のために戦い続けた武将でした。その生涯は、戦国時代の武士の生き様を象徴するものと言えるでしょう。

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