真玉橋

真玉橋（まだんばし）

真玉橋は、沖縄県那覇市と豊見城市の間を流れる国場川に架かる橋であり、その周辺地域を指す地名でもあります。この橋は、琉球王国の歴史と深く結びついており、その変遷は沖縄の歴史を物語る上で重要な要素となっています。

真玉橋の歴史

真玉橋の歴史は、琉球王国第二尚氏時代の1522年にまで遡ります。「真珠湊碑文」によると、当時の尚真王が、政治利用、城の防衛、そして島尻地域の軍勢を那覇港へ集結させるという目的のために、木造の橋を架けました。この橋は、首里と沖縄本島南部を結ぶ真珠道の一部として重要な役割を果たしました。

1708年には、尚貞王の時代に石造のアーチ橋に改築されました。これは、1451年に建造された長虹堤に次ぐ国内で2番目の石造アーチ橋と考えられています。橋長は約38メートル、幅は約4.8メートルで、5連のアーチ橋として建設されました。中央の3つのアーチには、それぞれ「世持橋」「雲久橋」「世寄橋」という名前がつけられましたが、両端のアーチには名前がありませんでした。1837年には大規模な改修が行われ、新たに「世済橋」が加えられました。

琉球王国が消滅した後も橋は存在しましたが、1945年の沖縄戦で日本軍によって破壊されました。戦後、米軍によって鉄橋が架けられ、その後1963年には琉球政府によってコンクリート橋が建設されました。そして、2002年、再びアーチ橋として架け替えられ、現在に至っています。この架橋工事の際、旧アーチ橋の遺構が発見され、国場川の両岸に保存されています。

橋名の「真玉」は、おもろ語で褒め言葉として用いられていました。「世持」「雲久」「世寄」も同様に、おもろに登場する褒め言葉に由来します。

集落としての真玉橋

真玉橋は、集落としても長い歴史を持っています。17世紀初頭には、豊見城間切真玉橋村としての記録が残っています。『琉球国由来記』や『遺老説伝』によれば、中国から来た人々がこの地に移り住み、瓦を焼く窯を設けて、琉球における最初の焼瓦を生産したとされています。しかし、その年代ははっきりとしていません。

明治時代に入っても真玉橋村として存在し、1880年には戸数62、人口304人を数えました。その後、1903年に嘉数村と根差部村と合併して真嘉部村となり、1908年に豊見城村の一部となりました。

真玉橋にまつわる言い伝え

真玉橋には、人柱に関する悲しい伝説が残されています。一つは、日照りが続いた際に、橋に生け贄を捧げるため、矢を飛ばして刺さった家の娘を生け贄にするというものでした。しかし、矢が刺さったのが言い出した人の家であったため、その娘が人柱になったという話です。

もう一つの伝説では、神女が「子年生まれで七色の元結を身につけた女を人柱にせよ」という神託を告げたところ、その神女自身がその条件に当てはまることが判明し、自らが人柱となったというものです。この伝説は、長柄橋の人柱伝説の影響を受けていると指摘されています。この伝説を基にした戯曲や組踊も作られており、地域文化に深く根付いています。

主要施設

真玉橋周辺には、以下の様な施設があります。

沖縄県立豊見城高等学校
沖縄生活医療協同組合 とよみ生協病院
県営真玉橋団地
沖縄海邦銀行真玉橋支店
真玉橋郵便局

交通

真玉橋地域は、以下の道路や路線バスが利用できます。

道路

国道329号那覇東バイパス
国道507号（旧国道329号）
沖縄県道11号線

路線バス

105番 豊見城市内一周線
45番 与根線
6番 那覇おもろまち線

45番と6番は、豊見城高校を経由する便が朝と夕に限定されています。

真玉橋地域内のバス停

豊見城高校前
根差部入口
真玉橋入口
嘉数入口（部落内側）
嘉数入口（県道11号）

隣接地域

真玉橋は、以下の地域と隣接しています。

豊見城市内

豊見城
根差部
嘉数

那覇市

古波蔵
国場

まとめ

真玉橋は、橋としての役割だけでなく、地域としての歴史や文化が色濃く残る場所です。琉球王国時代からの歴史を持ち、数々の変遷を経て現在に至るこの地は、沖縄の歴史を語る上で欠かせない存在と言えるでしょう。

参考文献

久保孝一「真玉橋」社団法人沖縄建設弘済会発行「しまたてぃ」No.21、2002年、4-9頁
『日本歴史地名大系四八巻 沖縄県の地名』、平凡社、2002年、ISBN 4582490484

関連項目

アーチ橋

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