石和温泉駅

石和温泉駅：歴史と発展を刻む山梨の玄関口

石和温泉駅は、山梨県笛吹市石和町松本に位置するJR中央本線の駅です。駅番号はCO41。甲府盆地の東部にあり、古くから交通の要衝として栄えてきたこの地で、中央本線開通と時を同じくして開業しました。

明治期からの歴史：宿場町と鉄道の出会い

中央本線の建設において、石和周辺の停車場設置は当初未定でした。しかし、石和は江戸時代から甲州街道の宿場町として栄え、甲州街道、鎌倉街道、秩父往還といった主要街道の分岐点であり、笛吹川による舟運も盛んで、地域の中心地として発展を遂げていました。養蚕や果樹栽培も盛んで、地域経済を支えていました。

中央本線が石和村を通らないことが決定すると、地元住民は、特産物の輸送や製糸工場への石炭供給の必要性から、駅誘致運動を展開。関係各村が合同で上申書を提出した結果、現在の場所に駅が設置されました。当初の駅名は「石和駅」で、現在の位置は、石和宿に近いことから名付けられました。その後、明治40年の大水害により笛吹川の流路が変わり、現在の姿となりました。

中央線の開通は、石和の地域経済に大きな変化をもたらしました。鉄道輸送の開始により、養蚕・蚕糸業は更なる発展を遂げ、桑畑や製紙工場が増加、果樹栽培も拡大しました。一方、陸上輸送や舟運、宿場町としての機能は徐々に衰退していきました。

戦後からの変化：観光都市への発展

戦後は養蚕業の衰退により、果樹栽培と石和温泉を中心とする観光業が地域経済を支えるようになりました。駅周辺も観光都市の玄関口として整備され、旅館街が形成されていきました。

駅舎の変遷とバリアフリー化

2014年まで使用されていた木造2階建ての駅舎は、老朽化とバリアフリー化の必要性から、橋上駅舎への改築工事が行われました。工事期間中は仮駅舎が使用され、2015年には南口、2016年には北口が開設されました。現在の駅舎は鉄骨造り2階建ての橋上式で、エレベーターやエスカレーターも設置され、バリアフリー化が大きく進みました。

駅構造と設備

石和温泉駅は相対式ホーム2面2線の地上駅です。駅舎は橋上式で、広々とした待合室や多機能トイレ、指定席券売機などが設置されています。JR東日本ステーションサービスが駅業務を受託しており、甲府駅の管理下にあります。かつて存在した3番線は廃止されています。

交通アクセス：バス路線と周辺環境

石和温泉駅は、石和温泉郷への最寄り駅であり、笛吹市の中心駅でもあります。駅周辺には、多くのバス路線が乗り入れており、石和温泉郷や周辺地域へのアクセスが容易です。南口にはロータリーがあり、複数のバス会社が運行する路線バスが発着します。北口は2016年に開設されました。

その他：発車メロディ、貨物取扱、利用状況

発車メロディには「武田節」が使用されています。JR貨物駅として車扱貨物臨時取扱駅として機能していますが、貨物列車の発着はありません。かつてはセメント輸送のための専用線が駅に接続していましたが、現在は廃止されています。

2023年度の1日平均乗車人員は2701人です。

まとめ

石和温泉駅は、明治時代からの歴史を持つ、山梨県東部を代表する駅です。地域住民の生活と深く関わり、発展を支えてきました。今後も、観光客や地域住民の重要な拠点として、その役割を果たしていくでしょう。

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