石成友通

石成友通：三好政権を支えた武将の生涯

石成友通（いわなり ともみち）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将です。三好氏の家臣であり、三好三人衆の一人として知られています。彼の生涯は、三好政権の盛衰と深く関わっています。

出自と初期

友通の出自については、確かな記録が少なく不明な点が多いです。有力な説としては、大和国や備後国にルーツを持つ土豪出身とする見解があります。また、京都郊外の西九条の下司を務めていたとする記録もあり、後に三好氏に仕えるようになったとされています。いずれにしても、松永久秀と同様に畿内で頭角を現した人物であることは間違いないでしょう。

三好氏の重臣として

史料における友通の初見は、1550年です。この頃には、すでに三好長慶の奉行衆として活躍していました。1558年には、将軍山城の占拠に参戦し、軍事面でも頭角を現します。1562年には、六角義賢が京に侵入した際、足利義輝の警護にあたっています。

1564年に長慶が亡くなると、友通は三好長逸、三好宗渭と共に三好三人衆として、甥の三好義継を後見します。しかし、この頃から三好家は内部抗争が激化。1565年には、足利義輝を殺害したとされる永禄の変に関与し、松永久秀や畠山高政といった他の勢力と激しく戦いました。

1566年、友通は勝竜寺城を攻略。これを居城とし、西岡を支配下に置きます。勝竜寺城は、元々土豪の拠点的施設でしたが、友通が整備したことで、新たな政権の拠点として生まれ変わりました。彼は、勝竜寺城の「最初の城主」とも評されています。

信長との対立と最期

1567年、友通は久秀との戦いで敗北しますが、その後も各地で転戦。1568年、織田信長が上洛してくると、友通は他の三人衆や六角義賢と手を組み、信長に抵抗します。しかし、勝竜寺城は攻め落とされ、友通は撤退を余儀なくされます。

一時、信長に臣従した友通ですが、後に信長包囲網に呼応し再び対立。1573年、信長の命を受けた三淵藤英・細川藤孝らの軍勢に淀城を攻められ奮戦しますが、味方の裏切りにより孤立、戦死しました。この戦いで、石成方の軍勢340名も戦死し、三好三人衆は完全に崩壊しました。

文芸における石成友通

江戸時代末期の浮世絵『太平記英雄伝』には、友通の姿が描かれています。しかし、その内容は史実と異なる部分が多く、作者の想像による創作であると考えられています。それでも、この浮世絵は、当時の世間における石成友通のイメージを反映したものとして貴重な資料と言えるでしょう。

宗教・信仰

ルイス・フロイスの『日本史』では、友通は「神の掟の敵」と記されています。これは、キリスト教に寛容であった三好長逸とは対照的な態度を示していたことを示唆しています。

まとめ

石成友通は、三好政権の中枢で活躍した武将です。その出自は謎に包まれていますが、三好長慶の側近として頭角を現し、三好三人衆の一人として、主君を支え、各地で戦を繰り広げました。信長との対立、そして最期は悲劇的なものでしたが、彼の武勇と政治手腕は、戦国時代の歴史に大きな足跡を残しました。


参考文献
今谷明『戦国三好一族 天下に号令した戦国大名』洋泉社、2007年。
谷口克広『信長と消えた家臣たち』中央公論新社、2007年。
福島克彦『畿内・近国の戦国合戦』吉川弘文館〈戦争の日本史11〉、2009年。
天野忠幸『戦国期三好政権の研究』清文堂出版、2010年。
仁木宏『戦国時代、村と町のかたち』山川出版社、2004年。ISBN 978-4-634-54260-0。
『三好長慶』今谷明・天野忠幸監修、宮帯出版社、2013年。ISBN 978-4-86366-902-4。
天野忠幸『三好長慶』ミネルヴァ書房〈ミネルヴァ日本評伝選〉、2014年。ISBN 978-4-623-07072-5。
若松和三郎『戦国三好氏と篠原長房』戒光祥出版〈中世武士選書シリーズ17〉、2013年。ISBN 978-4-86403-086-1。

関連項目
久米田の戦い
教興寺の戦い
野田城・福島城の戦い
畿内・近国の戦国時代

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