石見畳ヶ浦

石見畳ヶ浦

石見畳ヶ浦（いわみたたみがうら）は、島根県浜田市に位置する海岸の景勝地で、通常は単に「畳ヶ浦」と呼ばれています。その名称の由来は、この場所が多重に敷かれた畳のように見える千畳敷の景観に由来しています。広い範囲を指して唐鐘海岸とも呼ばれ、このエリアは浜田海岸県立自然公園の一部として保護されています。

歴史的背景

石見畳ヶ浦は、もともと「床浦」として知られていましたが、1872年に発生した浜田地震により、海底が約30センチ持ち上がり、今の千畳敷と断崖が交わる独特の地形が形成されました。このような地質的な変動は非常に興味深く、1932年には国の天然記念物に指定されました。ちなみに、隆起の高さが1メートルとする説もありますが、これは地震から約40年後の調査に基づくため、その信頼性には疑問が残ります。

この地域は市内でも特に人気の高い観光地で、訪れる人々は釣りや海水浴を楽しむために多く集まります。さらに、環境省が選定したかおり風景100選にも挙げられており、石見畳ヶ浦周辺の磯の香りが評価されています。

特色と景観

千畳敷

千畳敷は、畳が敷かれたように形成された地層に無数の亀裂が見られます。波の浸食によって作られた棚状の地形のことを波食棚と呼び、その主成分は砂岩です。この砂岩には中期中新世の貝類や流木、さらにはクジラの骨などの化石が非常によい状態で残されています。

馬の背

千畳敷の中心部には「馬の背」と呼ばれる岩山が存在します。この岩山はかつて海にあった岩礁が地震により露出したものです。砂岩層と礫岩層がはっきりとわかる特徴を持っています。これらの礫岩層は本来の海底にあったはずのものですが、地震によって地上に姿を現しました。

ノジュール（団塊）

千畳敷のあちこちには、腰掛けに最適な丸い石が点在しています。これらの石は「ノジュール」と呼ばれ、地震によって岩盤が持ち上がる際に生成されたものです。地層に沿って均等に並ぶノジュールは特に印象的で、貝殻に含まれる炭酸カルシウムの影響でコンクリートのような硬さを持ちます。これは全国でも珍しい現象であり、畳ヶ浦の特徴を代表する存在です。しかし、2007年にはノジュールが盗まれる事件も発生し、浜田警察署に盗難届が出されています。

その他の特徴

この海岸の背後には、高さ20メートルを超える断崖が連なり、地層の重なりが顕著です。海蝕洞では地蔵菩薩が安置されている場所もあり、賽の河原と呼ばれる不思議なスポットも存在します。また、海の中には犬島や猫島という名の奇岩が浮かんでいます。

アクセス情報

石見畳ヶ浦へのアクセスは、JR山陰本線の下府駅が最寄りの駅となります。下府駅前のバス停から石見交通バスを利用し、千畳苑口バス停または畳ヶ浦口バス停で下車し、そこから徒歩でのアクセスが可能です。手軽に訪れることができるため、観光の際にはぜひ立ち寄りたいスポットです。

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