神戸市交通局6000形電車

神戸市交通局6000形電車は、2018年から西神・山手線で運用を開始した通勤形電車です。約25年ぶりの新型車両として、安全性、バリアフリー化、快適性向上、省エネ化を目指して設計され、従来の車両から大幅な刷新が図られました。製造は川崎車両が担当しています。

概要

2022年度までに6両編成28本が順次投入され、従来の1000形、2000形、3000形を置き換えました。その後、北神急行電鉄から譲渡された7000系も置き換え対象となり、2023年8月18日のダイヤ改正以降、西神・山手線と北神線の車両は6000形に統一されました。

全駅にホームドアが設置されている西神・山手線において、6000形はホームドアとの開閉連動が可能な機構を備えています。また、将来的なワンマン運転への対応も考慮された設計となっています。

編成構成

編成は、西神中央方から順に6100形 (Tc) - 6200形 (M1) - 6300形 (M2) - 6400形 (T) - 6500形 (M3) - 6600形 (Tc) で構成される6両固定編成です。3M3Tの構成で、性能面では最高速度100km/h、最大加速度3.3km/h/s、常用減速度3.5km/h/s、非常減速度4.5km/h/sと、従来の車両と同等の性能を維持しています。

各車両の定員と自重は以下の通りです。

6129(Tc1): 定員124名、自重29.5t
6229(M1): 定員140名、自重34.1t
6329(M2): 定員140名、自重32.0t
6429(T): 定員140名、自重25.6t
6629(Tc2): 定員124名、自重29.2t

車両番号の下2桁は、開業時からの通し番号となっており、3000形の最終編成である28号に続く形で、6000形の第1編成は29号となっています。

構造

車体

車体は、無塗装でヘアライン加工が施された耐食アルミニウム合金製のダブルスキン構造です。西神・山手線のイメージカラーである緑色が、前面と側面のラインに配色されています。デザインは川崎重工業が手掛け、工業デザイナーの奥山清行氏が代表を務める「KEN OKUYAMA DESIGN」が監修しました。

デザイン決定に際しては、2016年に開催されたイベントやウェブサイト上で、3つのデザイン案から投票が行われました。その結果、「街に馴染む丸みを帯びたフレンドリーなデザイン」と「車両全体を巻き込むような安心感を与えるカラーリング」を特徴とするB案が採用されました。

車両番号の字体は、神戸市電時代から使用されているものがベースとなっています。また、行先表示器には、神戸市営地下鉄として初めてフルカラーLED表示器が採用され、方向幕時代と同様に赤地での表示やイラスト表示、イベントに応じた特別色の表示などが可能です。

表示例

2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的な流行時には、医療従事者への感謝を示す「Light it blue」に則り、青地に白文字で行先を表示しました。
* 2022年にオリックス・バファローズがパ・リーグで優勝した際には、同球団のチームカラーである紺地に金縁白文字で行先を表示しました。

内装

車内の座席はオールロングシートで、座席幅の拡幅やバケットシートの採用により、快適性の向上が図られています。一般座席と優先席は、どちらもグリーン系の配色で、座席表皮には千鳥柄が採用されています。木目調の大型袖仕切りに加え、ドア間の座席（9人掛け）には中仕切りとスタンションポールが設置されています。編成全体の定員は808名（座席定員は272名）です。

車内案内表示器（LCD）は、1両あたり3か所のドア上に2画面ずつ設置され、4か国語による乗換案内や停車駅情報、広告の表示が可能です。LCDが設置されていないドア上には、ドアの開閉方向を示す表示器が設置されています。車椅子スペースは、従来通り3号車と4号車に1箇所ずつ設置されている他、その他の車両にも非常通報装置を省略したフリースペースが設けられています。照明はLED化され、客室内は間接照明となっています。ドアの開閉時に鳴動するドアチャイムは、JR東日本の通勤形車両などで採用されているものと同じものが採用されています。戸閉装置には減圧機構が搭載されています。

側面の窓ガラスの面積は従来車よりも拡大され、車両間の貫通扉も大型のガラス扉となっています。6000形では、窓の遮光幕が鎧戸からカーテンに変更されています。

乗務員室

運転台は、従来車と同様の横軸ツーハンドル式を採用しています。マスコンは力行4ノッチと抑速3ノッチ、ブレーキは常用最大7ノッチです。運転台の正面にはグラスコックピット用の画面があり、速度計やブレーキ圧力計などを表示する画面と、車両や機器の状態を表示する画面がそれぞれ設けられています。

主要機器

台車は、川崎重工業（現・川崎車両）製の軸梁式ボルスタ付き空気ばね台車で、M車にKW215形、Tc・T車にKW216形がそれぞれ装着されています。

制御装置は、日立製作所製のハイブリッドSiC素子を使用した2レベルVVVFインバータ制御装置（VFI-HR1421H形）が各電動車に1台ずつ搭載されており、4台の電動機を制御する1C4M方式です。SiCを用いることで、装置の小型軽量化が図られています。主電動機は、定格出力170kWのかご形三相誘導電動機です。

補助電源装置は、三菱電機製のハイブリッドSiC素子を使用した静止形インバータ（SIV・NC-GAT150E形）で、定格容量は150kVAです。2台のSIVは出力波形を同期させた並列同期運転を行っており、負荷が少ない時には片方のSIVを休止させる機能を備えています。

空気圧縮機（CP）は、潤滑油が不要なオイルフリー式スクロール式（RR16T形・吐出量1,360L/min）が採用されています。装置はナブテスコ製で、1台の機器箱に2台のCPと周辺機器が収納されています。

集電装置は、シングルアーム式パンタグラフのPT7181-Aで、M1・M3車に各2台搭載されています。冷房装置は、能力21.98kW（18,900kcal/h）のCU786形が各車屋根上に2基搭載されています。

運用

北神線の谷上駅 - 新神戸駅間と、西神・山手線の新神戸駅 - 西神中央駅間で運用されています。

2018年3月に川崎重工業兵庫工場から名谷車庫まで陸送され、6月11日から日中試運転が行われました。営業運転開始に先立ち、2019年2月9日・10日には市民向けの試乗会が開催されました。その際には「試乗会」という表示が掲出されました。

2019年2月16日、西神中央駅10時7分発の谷上行きの列車から営業運転を開始しました。

その後も増備が続き、2023年8月18日のダイヤ改正より、西神・山手線および北神線の全列車が本形式で統一されました。

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